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記録的な夏のあとで|フランス2026年の収穫を分けたもの

大きな朱色の太陽の下、丘の上に一本の木が立ち、地中ではブドウの根が土と岩の層を抜けて一滴の水へ伸びていくポップ浮世絵風イラスト

10月の終わり、ブルゴーニュのコート・ドールの斜面では、ブドウの葉が金色に変わりはじめる。畑の作業がひと段落するこの時期、各地の造り手から収穫の報告が届き、2026年という年の輪郭が見えてくる。

1900年以来もっとも暑い夏が、ブドウに残したもの

フランス気象局(Météo-France)によれば、2026年の夏(6〜8月)は、1900年の観測開始以来、もっとも暑かった。平均気温は平年(1991〜2020年の平均)より3.6℃高く、それまでの記録だった2003年を大きく上回った。熱波は三度訪れ、その日数は合わせて53日に及んだ。降水量は平年より4割ほど少なかった。

Bacchus Global(BG)に届いた複数の造り手の報告によれば、2026年は多くの畑で水不足のためにブドウの成熟が止まり、果汁の少ない小さな実しかつかなかった。若い樹が熱で傷んだ区画もあったという。収穫時期は地域によって例年より3〜6週間早く、収穫量は少なく、アルコール度数は高めで、香りと果実味が凝縮した一方、酸が下がった例もあった。

報道によると、フランス農業省の統計部門(Agreste)が9月時点で示した見通しでは、全国の生産量は3,400万ヘクトリットルを下回り、過去30年でもっとも少ない部類に入る。

しかし、被害の大きさは地域ごとにまったく違った

同じ見通しで、生産量の減少率がもっとも大きいと見込まれるのはシャンパーニュで、前年よりおよそ5割少ない。糖度が上がりすぎたため、原産地呼称を管理する国立機関(INAO)は、通常は13%とされるアルコール度数の上限を、2026年の収穫に限り15%まで引き上げる特例を出したと報じられている。それでもBGの取引先の造り手は、樹そのものの心配はしていないと伝えてきた。シャンパーニュの土台であるチョーク(白亜)の土壌は、水を蓄える力が大きいからだ。

造り手の報告で、懸念がもっとも大きいとされたのはブルゴーニュである。シャルドネもピノ・ノワールも、暑さに弱い北の品種だ。Agresteの見通しでは、ブルゴーニュとボージョレの生産量は前年より3分の1ほど減り、シャブリやコート・ド・ボーヌの白に特有の、張りつめたミネラル感が失われるのではないかと心配されている。

一方で、造り手の報告によれば、アルザスは量こそ少ないものの出来はよく、とくにリースリングが好調だという。ローヌからは量・質ともに「非常に満足できる」という声が届き、南のルーションは、大きな被害も予想されたなかで、ブドウが十分に実って熟した例外的な年になったと伝えられている。

差を生んだ手がかり|土地の条件と畑の管理

なぜ同じ夏に、これほどの差が生まれたのか。報告を読むと、三つの手がかりが浮かんでくる。畑の標高、土壌の保水力、そして畑の管理である。

標高については、高い斜面の畑で夏の終わりに涼しい日が続き、酸が保たれたと報告されている。土壌については、先に触れたシャンパーニュのチョークが例になる。畑の管理については、次の二軒の造り手からの報告がある。

ルーションのドメーヌ・ゴビーでは前年の秋から冬にかけて雨が続き、8月末から9月初めにも雨があった。ゴビーは「これほど多くのブドウが樹についた年は見たことがない」と書き、降雨とともに、理由の一つとして、降った水の一滴一滴が何年にもわたって樹の役に立つようにする再生型の農業を挙げている。

青空の下、ガリーグに覆われた丘を背に、黒い房をつけた古いグルナッシュの樹が並ぶドメーヌ・ゴビーの畑
ドメーヌ・ゴビーの古いグルナッシュの畑。周りをガリーグ(地中海沿岸の低木の茂み)が囲む。

シャンパーニュとの境に近いオーブ県のドメーヌ・ブルーノ・ダンジャンも、収穫は早く量も減った。それでも報告によれば、マチュー・ダンジャン氏が2021年に始めた、ブドウ畑に果樹を植える「ヴィティフォレストリー」には手応えがあったという。具体的に何が変わったかは報告には書かれていない。同氏はこの取り組みを始めてから、良い面も悪い面も含めて畑の変化を観察し続けている。

ドメーヌ・ブルーノ・ダンジャンのブドウの列の間に植えられた若い果樹と、そのそばに立つ造り手
ドメーヌ・ブルーノ・ダンジャンの畑。ブドウの列の間に果樹が植えられている。

こうした栽培方針を守り続けることには、痛みも伴う。BGに届いた報告によれば、8か月にわたって雨が降り続いた2024年、シャブリのドメーヌ・ド・ランクロと、ブルゴーニュのドミニク・グリュイエ氏は、べと病を抑える合成農薬を使うのではなく、収穫そのものを見送る道を選んだ。その年の収穫を失っても、有機栽培は変えなかった。

2026年のワインを読むための手がかり

2026年のフランスワインを「暑い年」の一言で語るのは簡単だ。しかし、今年の報告が示しているのは、同じ収穫年でも、産地や畑によって生まれる大きな違いである。

来年以降、2026年のワインについて説明を求められたら、収穫年に加えて、産地、畑の標高、そして造り手がどう畑を育ててきたかを確かめてみるとよい。造り手の資料や畑の情報をたどれば、厳しい夏がそのブドウにどう表れたのかを、より具体的に説明できる。

この記事は、BGが2026年10月23日に配信したニュースレター「Harvest 2026 Report」をもとにしています。ここで触れなかった地域や造り手の報告を含む全文(英語)は、Bacchus Journalのアーカイブで読めます。


This article is intended solely to explore the winemaking artistry and cultural heritage of French wine producers and the 2026 harvest in France, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol.

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