「あつらえる」という贅沢──山形「百光 別誂」、IWC 2026で再び山形トロフィーを獲得

「あつらえる」という贅沢──山形「百光 別誂」、IWC 2026で再び山形トロフィーを獲得

日本酒の名前には、ときどき粋な言葉が忍ばせてある。SAKE HUNDREDの「百光 別誂(びゃっこう べつあつらえ)」も、そのひとつだ。「別誂」とは、「特別にあつらえる」という意味の古い日本語。洋服でいえば、オーダーメイドにあたる。

IWC 2026、再びの山形トロフィー

2026年の、世界最大級の酒類審査会のひとつであるIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)の日本酒部門では、出品1,738点のうち、部門ごと、あるいは産地ごとに贈られるトロフィーの受賞酒に選ばれたのは59点だった。百光 別誂は、そのうち山形県の純米大吟醸酒部門のトロフィーを獲得した。

注目したいのは、その一貫性である。この酒は2023年にも山形トロフィーを受賞し、2024年と2025年には金賞を重ねてきた。そして2026年、再びトロフィーを獲得した。さらに、フランスのKura Masterでも2022年と2024年に、上位賞であるプラチナ賞を受賞している。

審査が行われる国も、審査員も、評価の物差しも異なる。それでも結果が重なり続けるという事実は、この酒の個性がいかに明確であるかを物語っている。

「ラグジュアリー日本酒」という新しい領域

百光 別誂を手がけるのは、SAKE HUNDREDというブランドである。SAKE HUNDREDを運営する株式会社Clearが、2018年に立ち上げたブランドだ。

このブランドが試みたのは、日本酒を、ファインワインや高級スピリッツと同じ土俵に乗せることだった。言いかえれば、「ラグジュアリーな嗜好品としての日本酒」という、国内ではまだ輪郭のはっきりしていなかった領域を切り開くことである。日本酒を、安さや手軽さではなく、心を満たす体験として届ける。SAKE HUNDREDは、その先駆的な存在のひとつだ。

本気度は、経営体制にも表れている。社外取締役には、元エルメスジャポン社長が名を連ねる。ラグジュアリーブランドを世界で育ててきた知見が、ブランドづくりに生かされているのだ。スペックの数字を競うのではなく、飲む人の心に残るかどうかを重視している。SAKE HUNDREDが掲げるのは、「100年先まで輝く日本酒をつくる」という言葉である。

百光だけではない、受賞の厚み

評価を受けているのは、百光 別誂だけではない。SAKE HUNDREDの数々の銘柄が、国際的なコンクールで受賞を重ねてきた。

フランスのKura Masterでは、ブランドとして数年にわたり受賞を続けている。代表銘柄の「百光」、山形の蔵で醸す「思凛(しりん)」、泡の立つ「深星(しんせい)」など、味わいのタイプは実に幅広い。一過性のヒットではなく、性格の異なる複数の銘柄が、それぞれの個性で評価されている。これは、ブランド全体の設計力の高さを示している。

その系譜の中心に立つのがフラッグシップの「百光」であり、さらに手をかけた上位版が「百光 別誂」なのだ。

「別誂」とは何か

別誂は、通常版の百光に、さらに手をかけた特別にあつらえた一本である。英語名には「BESPOKE(ビスポーク)」が添えられている。仕立て服の世界で「客のために一から仕立てる」ことを指す言葉だ。

その「あつらえ」は、原料の選択にも表れている。通常版の百光が山形県産の酒米「雪女神」を用いるのに対し、別誂では、酒米を「酒米の王様」と呼ばれる兵庫県産の山田錦に替え、さらに酵母も選び直している。同じ百光という名を持ちながら、中身を仕立て直す。「できあいではなく、あつらえる」という思想が、名前そのものに込められている。

醸造を担うのは、山形県酒田市の楯の川酒造(1832年創業)である。2010年、この蔵は造る酒のすべてを純米大吟醸に切り替えるという大きな決断をした。それは、手間のかかる最上位の造りだけで蔵を成り立たせるということだ。簡単な道ではない。原料の米から醸造の工程まで、「あつらえる」という思想が、一本の酒を貫いている。

バンコクから読む、あつらえの物語

百光 別誂は、ライチや白桃を思わせる華やかな香りをまとう。味わいは澄んでいて雑味がなく、余韻は長く繊細に続いていく。引き算の先にたどり着いた、静かな美しさである。

「あつらえる」という発想は、大量生産の時代にあって、かえって新鮮に響く。日本酒を、ファインワインのように語り、評価する視点が育ちつつあるいま、バンコクで日本酒を語るうえでも、こうした事例は、日本のものづくりの美意識を考えるうえでの手がかりになるはずだ。


This article is intended solely to explore the brewing philosophy and cultural heritage of Tatenokawa Brewery (the producer of BYAKKO BESPOKE) and the SAKE HUNDRED brand, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับปรัชญาการผลิตและมรดกทางวัฒนธรรมของโรงสาเก Tatenokawa (ผู้ผลิต BYAKKO BESPOKE) และแบรนด์ SAKE HUNDRED เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ

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