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貴醸酒とは何か|水の代わりに酒で仕込むと、なぜ甘くなるのか

日本酒を造るとき、仕込みに使う水の一部を日本酒に置き換える。そう聞くと、ただ濃く、きつい酒ができるように思える。ところが生まれるのは、濃い甘みと酸味をたたえた酒である。これが貴醸酒(きじょうしゅ)だ。甘口の日本酒と聞いて、糖を加えた酒を想像する人もいるかもしれない。だが貴醸酒の甘さは、まったく別のところから来ている。
仕込み水の一部を、酒に置き換える
日本酒は、酵母を育てた酒母に、蒸米と米麹、水を加えて発酵させる。材料は一度に入れず、数日かけて三回に分けて加えていく。これを三段仕込みという。酒母は、酵母を十分に増やしておくための小さな仕込みで、酛(もと)とも呼ばれる。酵母の勢いを保ちながら、仕込みの量を大きくしていくための工夫である。
米麹は、蒸米に麹菌を育てたものだ。麹菌がつくる酵素が米のでんぷんを糖に変え、その糖を酵母がアルコールに変える。日本酒では、この二つの働きが一つのタンクの中で同時に進んでいく。
貴醸酒は、この仕込みに使う水の一部を日本酒に置き換えて造る。日本酒を加えるのは、三回目の仕込みにあたる留添(とめぞえ)の段階であることが多い。留添は三段仕込みの最後の段階で、三回のうち最も多くの米と水を加える。さらにもう一段設け、四段目で日本酒を加える場合もある。
酒を加えると、なぜ甘くなるのか
鍵は、酵母の働きにある。
通常の仕込みでは、アルコールは発酵が進むにつれて少しずつ増えていく。しかし貴醸酒では、仕込みの段階で日本酒が入るため、早いうちからアルコールの濃い環境になる。酵母はアルコール濃度の高い環境では働きが鈍る。麹の酵素が米のでんぷんを糖に変える働きは続く一方で、酵母が糖を使う勢いは弱まる。その結果、本来ならアルコールに変わるはずだった糖が多く残り、それが甘さとして感じられる。アルコールを先に加えたことで、かえってアルコールに変わる糖が減る。ここに貴醸酒の逆説がある。
つまり貴醸酒の甘さは、糖を足した甘さではない。酵母が使いきれなかった米の糖の甘さである。
1973年の開発と927年の記録
貴醸酒という名の製法は、1973年に国税庁醸造試験所(現在の酒類総合研究所)で開発された。国の研究機関で生まれた、比較的新しい製法である。なお「貴醸酒」という名称は、榎酒造が商標として登録している。
興味深いのは、この製法が千年以上前の記録と重なることだ。927年に完成した平安時代の法典『延喜式』は、朝廷の儀式や制度の細かな決まりをまとめた書物である。その中には、宮中の酒造りを担った役所・造酒司の製法として、「しおり」と呼ばれる造り方が記されている。1973年に開発された貴醸酒の製法は、結果としてこの古い造り方に近いものだった。
琥珀色へ向かう時間
貴醸酒は熟成につれて色づき、明るい琥珀色を帯びるものが多い。色や香りの変わり方は、酒質や貯蔵の条件によって異なる。酒質の面では、濃い甘みと、それを引き締める酸味が特徴とされる。長く寝かせる蔵がある一方で、熟成を短く抑え、酸味と爽やかさを残す蔵もある。
たとえば秋田の新政酒造が手がける「陽乃鳥(ひのとり)」は、仕上がった酒の熟成期間を1年未満にとどめ、果実を思わせる明るい酸味と甘みを両立させている。同じ貴醸酒でも、どこまで時間をかけるかで仕上がりは大きく変わる。
水の代わりに酒で仕込むという一点を知るだけで、貴醸酒の甘さや色を、偶然ではなく造りの結果として捉えられるようになる。甘さの由来を一言で説明できれば、貴醸酒はただの甘口ではなく、造りの工夫が見える酒として伝わる。
This article is intended solely to explore the brewing philosophy and cultural heritage of kijoshu, a traditional Japanese sake-making method, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับปรัชญาการผลิตและมรดกทางวัฒนธรรมของคิโจชู ซึ่งเป็นวิธีการผลิตสาเกแบบดั้งเดิมของญี่ปุ่นเท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ
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