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苦味のある酒を「苦い」でくくらない|アマーロの物差しで読む、金ケ崎薬草酒造とCombier

米国のある酒類専門誌が、アマーロの入門記事を掲載している。アマーロは、イタリアで造られてきた、薬草を使うほろ苦いリキュールの総称である。記事は、この酒を「苦い」の一語でくくらず、何をベースに造られるか、どの地域に由来する植物を使うか、度数はどれほどかという三つの見方を示している。
ここでは記事の三つの物差しに、植物を浸漬した後に蒸留を挟むかどうかという工程の違いを加え、岩手県金ケ崎町とフランスのロワール地方で造られる、植物を香味づけに用いた酒を読み解いていく。
漬けて、甘みを加える
記事によれば、アマーロの基本は、ブドウ由来のブランデーや中性スピリッツに、苦味をもたらす植物と香りの素材を漬け、甘みを加えることにある。苦味の素材として挙げられているのは、キナの樹皮、ゲンチアナの根、ニガヨモギ、アンジェリカの根である。そこに柑橘の皮、ハーブ、香辛料、花などが重なる。
起源は、中世イタリアの修道士が考案した薬草酒の処方にさかのぼるとされる。19世紀初めには商業生産が始まり、第二次世界大戦後には、薬局で扱われるものから、嗜好品として広く流通する酒へと位置づけが変わった。
記事はもう一つ、植物が土地を映すことを指摘している。南イタリアではビターオレンジ、北イタリアではアルプスのハーブというように、各地の処方は身近な素材を生かしてきた。一方で、交易の拠点だったヴェネツィアを通じて、遠方からも香辛料がもたらされ、処方に加わった。
金ケ崎薬草酒造|米を土台に、ニガヨモギとキハダを重ねる
金ケ崎薬草酒造の名で酒を造る株式会社K.S.Pは、元バーテンダーの老川和磨氏が2021年に岩手県金ケ崎町で設立した会社である。同社のAKA-ONI ROSSO Japanese Sweet Vermouthを、記事の物差しで見ていく。
まず、ベースとなる酒が異なる。記事が例示するブランデーなどではなく、岩手県のブランド米「金色の風」を使った味醂と、米由来の酒粕を蒸留した粕取り焼酎をベースにしている。
苦味の素材には、記事の一覧にもあるニガヨモギと、日本を含む東アジアに自生する樹木キハダを使う。香りづけにはクロモジ、タムシバ、バラ、生姜、バニラなどを用い、紫蘇や山椒も加わる。クロモジとタムシバは日本の固有種である。原料の調達地は公表されていないが、日本に自生する植物を選んでいる点に、この酒の地域的な特色がある。度数は18%で、記事が示すアマーロのアルコール度数の範囲(16.5〜35%)に収まる。
同社はこれをベルモットとして位置づけている。辛口のAO-ONI DRY Japanese Dry Vermouthも、本みりんと日本酒をベースに、ニガヨモギを中心とする植物素材を浸漬して造られる。度数は同じく18%である。
Combier|交易の香辛料と、蒸留という分かれ道
一方、フランス・ソーミュールのDistillerie Combierの二本は、製法の面で異なる特徴を持つ。
Élixir Combierは、カルダモン、ミルラ(没薬)、シナモン、サフランなど約15種の植物素材を浸漬した後、蒸留して造られる。同社は、その香りの特徴として「東洋の香辛料」を挙げている。記事が描いた二つの源のうち、身近な植物よりも、交易によって広まった香辛料に重心を置いた処方といえる。度数は38%で、記事が示す範囲を上回る。
L’Original Combierは、創業者のジャン=バティスト・コンビエが1834年に生み出したオレンジリキュールで、同社はこれを最初のトリプルセックと位置づけている。カリブ海から輸入したスイートオレンジとビターオレンジの皮を手作業で削り取り、今も使われる昔ながらの銅製の蒸留器で蒸留する。同社によると、その蒸留器を据えた蒸留室の金属製の骨組みは、エッフェル塔で知られるギュスターヴ・エッフェルの技師陣が設計した。ビターオレンジは、記事が南イタリアの素材として挙げた果実でもある。度数は40%で、無色透明な酒に仕上がる。
記事が描くアマーロは、植物を漬け込んだ酒に甘みを加えて仕上げられる。これに対し、Combierの二本には、いずれも蒸留工程がある。この二本とアマーロの違いを捉えるうえでは、使う植物だけでなく、この工程の違いが手がかりになる。
名前より先に、造りを見る
記事は、苦味のある食前酒をアマーロに含めるかどうかについて、イタリアと米国で見方が分かれるとも書いている。同じ酒でも、分類や捉え方は国によって異なる。
ベースとなる酒、使用する植物、浸漬後の工程、アルコール度数の四つを比較すると、金ケ崎薬草酒造の二本は、ニガヨモギを用い、度数も記事が示す範囲に収まる点でアマーロと共通する。一方、米由来の酒をベースにし、ベルモットとして位置づけられている点で、典型的なアマーロとは異なる。Combierの二本は、香辛料やビターオレンジを使う点で共通しながら、蒸留工程を持ち、度数も範囲を上回る。「苦い」の一語ではくくれない違いが、この四つの観点から見えてくる。
This article is intended solely to explore the production craftsmanship and cultural heritage of Kanegasaki Herbal Distillery (K.S.P Co., Ltd.) and Distillerie Combier, and the AKA-ONI, AO-ONI and COMBIER brands, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับศิลปะการผลิตและมรดกทางวัฒนธรรมของ Kanegasaki Herbal Distillery (K.S.P Co., Ltd.) และ Distillerie Combier รวมถึงแบรนด์ AKA-ONI, AO-ONI และ COMBIER เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ
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