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初出品で最高位 — 薩州 赤兎馬が証明した、芋焼酎の可能性

初出品で最高位 — 薩州 赤兎馬が証明した、芋焼酎の可能性

初出品で最高位 — 薩州 赤兎馬が証明した、芋焼酎の可能性

2021年5月、サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SFWSC)の公式発表があった日、焼酎業界の関係者の間に静かな驚きが広がった。大会全体で年間3,800を超える銘柄が出品される世界的な品評会で、ある日本の芋焼酎がショーチュー部門のダブルゴールド(同部門での最高評価)を手にしたのだ。

「薩州 赤兎馬(さっしゅう せきとば)」。鹿児島県いちき串木野市・濵田酒造が2001年に世に送り出した本格芋焼酎だ。SFWSCへの出品は、これが初めてだった。ブランド誕生20周年の年に、初出品で最高位を獲得した。

三つの受賞を積み重ねるまで

その後の評価は止まらなかった。

2023年、英国のインターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)。大会全体で約70カ国から2,200銘柄以上が出品されたブラインド審査のなか、赤兎馬は金賞を受賞した。翌2024年、再びSFWSCが赤兎馬を選んだ。大会全体のエントリー数は約5,500。そのなかでの金賞だ。

三つの受賞に共通するのは、いずれもブラインドテイスティングという点である。銘柄も産地も見えない状態で、専門家が液体だけを評価する。異なる場で繰り返し選ばれてきたという事実は、蔵の評判ではなく、液体そのものが評価されやすい形式で得られた結果だ。

ここで一点確認しておきたい。ISCはインターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(英国・Drinks International主催)であり、IWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)とは別の大会だ。焼酎の受賞歴が語られる文脈でこの二つが混用されることがあるが、正確に伝えるためには区別が必要になる。

「淡麗×重厚」という矛盾の解き方

なぜこの焼酎が、繰り返し選ばれるのか。製法に手がかりがある。

鹿児島県産の黄金千貫(こがねせんがん)を原料に、白麹で仕込み、常圧蒸留で原酒を得る。本格焼酎(単式蒸留・乙類)のなかでも、これは鹿児島の芋焼酎の王道ともいえる組み合わせだ。常圧蒸留は、さつまいも由来の重厚な香気成分を引き出しやすい。大地を感じるようなボディが生まれる一方、独特の土っぽさや雑味も伴いやすい。

赤兎馬でそこに加えられているのが、「特殊な濾過方法」だ。詳細は企業秘密として非公開だが、公表情報から読み取れる狙いは、骨太な原酒からフーゼル油と雑味を抜き取りながら、黄金千貫由来の旨味とコクを残すことにある。

蔵が掲げる「淡麗にして重厚」という言葉は一見矛盾しているが、クリーンな印象と重厚な要素を両立させる、この製法がめざす状態を言い表している。ある酒類レビュー(Japan Cellar)では総合91.7点、うち「個性」が9.0・「強さ」が8.7と評価されている。一つの外部評価からも、清らかさと力強さの両面が読み取れる。

仕上げの割り水には、霊峰「冠岳(かんむりだけ)」の伏流水が使われる。軟水として知られるこの水が、口当たりを穏やかに整える。

始皇帝と名馬、二重の伝説

冠岳には、古代の物語が残る。秦の始皇帝の命を受けた方士・徐福が、「不老不死の霊薬」を求めて東方の海を渡り、たどり着いたとされる地だ。この伝説の山から湧く伏流水が、焼酎の仕立てに使われている。

焼酎の名「赤兎馬」も、物語に由来する。中国古典『三国志演義』に登場する伝説の名馬で、「一日に千里を駆ける」と称えられ、「人中の呂布、馬中の赤兎」と並び称された存在だ。この物語は、タイでも『サームコック(สามก๊ก)』として広く知られており、ブランド名の文化的背景を国境を越えて伝えやすい。

「この名馬のように銘酒として育てたい」という思いで名付けられた焼酎が、20年後に世界の評価を手にした。

1868年から、若き当主の時代へ

濵田酒造の歴史は明治元年(1868年)に始まる。薩摩藩の参勤交代の第一宿場町として栄えた鹿児島県市来の地で、初代・濵田伝兵衛が創業した。以来150年以上、伝兵衛蔵・傳藏院蔵・金山蔵の三蔵体制のもとで薩摩の焼酎づくりを継承してきた。傳藏院蔵は、鹿児島の焼酎メーカーとして初めてFSSC 22000(食品安全マネジメントの国際認証)を取得した蔵でもある。

そして2025年10月、1994年生まれの濵田光太郎氏(当時31歳)が代表取締役社長に就任した。大学院でMBAを取得した若き当主が、「本格焼酎を世界に冠たる酒へと育てる」という蔵のビジョンを引き継ぎ、次の世代へつないでいく。創業150年を超える老舗の蓄積と、若い経営視点の組み合わせが、伝統産業の国際展開を動かしていく。

三国志の名馬が、国際的な焼酎の文脈で語られる理由

焼酎の国際的な評価の場が、少しずつ広がっている。地理的表示(GI)制度の整備、若い造り手の台頭、世界的な品評会での受賞実績の積み上がり。「ショーチュー」という言葉が、グローバルなスピリッツのボキャブラリーに加わりつつある。

赤兎馬はその文脈のなかで、一つの実例として位置づけられる。初出品で最高位を獲得し、その後も評価を積み重ねてきた実績が、1868年創業の蔵の歴史と、2001年に生まれた焼酎とを、現在の国際展開の文脈へとつないでいる。

バンコクのガストロノミーシーンで本格焼酎が語られる機会は、少しずつ増えてきている。


This article is intended solely to explore the distillation techniques and cultural heritage of Hamada Shuzo Co., Ltd. and the Sasshu Sekitoba brand, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับเทคนิคการกลั่นและมรดกทางวัฒนธรรมของ Hamada Shuzo Co., Ltd. และแบรนด์ Sasshu Sekitoba เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ

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