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「中取り」は等級の名前ではない|あらばしり・中取り・責めは、搾りのどこで生まれるか

日本酒のラベルには、ときどき「あらばしり」「中取り」「責め」といった言葉が添えられている。一般向けの解説では、この三つの言葉に順位をつけて紹介する例も少なくない。
けれども、日本酒造組合中央会の用語集をひらくと、少し違う姿が見えてくる。三つの言葉は、品質の順位としてではなく、酒が搾られて出てくる順番と、そのときにかかる力の違いを表す名前として書かれているのである。
槽の中で、酒は順番に出てくる
発酵を終えたもろみを、酒と酒粕に分ける工程を「上槽(じょうそう)」という。同会の用語集は、伝統的な「槽(ふね)」を使う搾りの手順を、おおよそ次のように説明している。
まず、もろみを5〜9リットルほど入る酒袋に詰め、槽の中に並べて積んでいく。この間に最初に出てくる、白く濁った酒が「荒走り(あらばしり)」である。積み終えてから3時間ほどは、袋そのものの重さで、澄んだ酒が自然に流れ出る。袋の山が沈んでくると、押蓋(おしぶた)と枕木をのせて圧搾を始める。そして翌日、酒袋を積み替えて、もう一度圧搾する。これを「責槽(せめぶね)」といい、ここから出る酒が「責め」である。
荒走りのあと、責めより前に出る酒を、同会は「中垂れ(なかだれ)」と呼んでいる。つまり、袋を積む間に出る「荒走り」、自重と最初の圧搾で出る「中垂れ」、翌日に積み替えて搾る「責め」という三つの名前は、品質の順位ではなく、時間と力の区切りを表しているのである。
ラベルでよく見る「中取り」「中汲み」は、この中間の酒を指して使われる言葉だが、どこからどこまでをそう呼ぶかは、用語集でも一律には定められていない。
あらばしりは、いつも別に瓶詰めされるわけではない
あらばしりについて、京都の酒造会社、月桂冠は、自らの重さで自然に搾られて出てくる最初の酒だと説明する。搾ったばかりの酒には炭酸ガスが残り、澱(おり)と呼ばれる浮遊物のために少し濁っているという。
一方、兵庫の白鶴酒造は、この最初の白濁した酒を小さな別の桶に取って澱を沈めることもあれば、もろみのタンクに戻して搾り直すこともあると書いている。あらばしりは、必ずしも独立した商品として瓶に詰められるものではない。分けて出すか、戻すかは、蔵の判断に委ねられている。
責めについても、一般向けの解説では「アルコール分が高い」「雑味が多い」と言い切られることがある。しかし、今回確かめた酒造組合と蔵元の資料には、三つの区分の成分を数字で比べた記述は見当たらなかった。資料から確かな違いとして言えるのは、出てくる順番と、かける力の違いまでである。
機械で搾る蔵では、区切り方も蔵ごとに変わる
同会の用語集は、現在は自動のもろみ圧搾機(ヤブタ式など)が普及していることにも触れている。槽と酒袋を前提に生まれた三つの名前を、機械による搾りのどこで区切るかは、蔵によって異なる。
富山県の富美菊酒造は、自社の「羽根屋」について、搾りの工程でタンクにできる酒の中間部分にあたる「中汲み(中取り)」だけを用いていると説明している。ここでは中汲みが、槽の上の時間ではなく、タンクに溜まる酒の「中間部分」として語られている。同じ言葉でも、指している範囲は蔵の設備と考え方によって変わりうるということだ。
同社は、手間のかかる造りのために製造量を広げられないと説明しながら、搾りの中間部分だけを用いる方針を羽根屋で掲げている。「羽根屋 翼 純米大吟醸」と「羽根屋 煌火 純米吟醸 生原酒」も、この方針のもとで造られている。
中取りを選んだあと、どう仕上げるか
中間の部分を選ぶことは、酒造りの終わりではない。その先の扱いも、蔵ごとに分かれる。
福井県の加藤吉平商店は、「梵 中取り 純米大吟醸 無濾過生原酒」を「中取り純米大吟醸酒」と紹介している。山田錦を50%まで磨き、ろ過も加水も火入れもしない生原酒を、マイナス10℃で氷温熟成させた酒である。
愛知県の山忠本家酒造は、「義侠 慶(よろこび)」を、40%まで磨いた純米吟醸の中汲みを3年以上低温で熟成させ、複数の年の酒を合わせたブレンドだと説明する。
同じ「中」を選んでも、搾った姿に近いまま生原酒として出す蔵もあれば、年をまたいで寝かせ、組み合わせて仕上げる蔵もある。ラベルの「中取り」は、搾りのどこを使ったかを伝える情報の一つであり、その酒の全体像は、熟成や火入れの有無と合わせて読むことになる。
名前が示すのは、搾りのどの時間か
荒走り、中垂れ、責めは、槽の前で袋を積み、圧をかけ、翌日に積み替えるという、一日をまたぐ作業の流れから生まれた名前である。一方で、どの区間を分けて瓶に詰め、どこからどこまでを「中取り」「中汲み」と呼ぶか、その酒をどう仕上げるかを決めているのは、それぞれの蔵だ。ラベルの一語だけで順位を決めず、蔵元がその言葉をどう説明しているかを確かめることが、読み解く手がかりになる。
This article is intended solely to explore the brewing techniques and cultural heritage of sake pressing, with reference to Fumigiku Sake Brewery (HANEYA), Kato Kichibee Shoten (BORN) and Yamachu Honke Brewery (GIKYO), and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol.
บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับเทคนิคการผลิตและมรดกทางวัฒนธรรมของขั้นตอนการคั้นสาเก โดยอ้างอิงถึง Fumigiku Sake Brewery (HANEYA), Kato Kichibee Shoten (BORN) และ Yamachu Honke Brewery (GIKYO) เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ
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