
何が差し引かれ、何が残るのか——焼酎の「引き算」という化学
日本酒の旨味と、ナンプラーやカピといったタイの発酵調味料の旨味は、成分としてよく似ている。だから互いに響き合う。近年、そんな見方が飲食の世界で語られるようになった。では、焼酎はどうだろうか。日本酒と焼酎は「日本の酒」とひとまとめにされがちだが、中身の成り立ちはまるで違う。日本酒が旨味をたっぷり抱えた酒だとすれば、焼酎は、その旨味をあえて減らした「引き算の酒」だ。この違いが、スパイスがいくつも重なるタイ料理を前にしたとき、日本酒とは異なる化学的な背景を形づくる。
醸造で「ためる」酒、蒸留で「引く」酒
日本酒をつくるとき、麹菌というカビの仲間が、米のタンパク質を分解して、旨味のもとであるアミノ酸に変えていく。なかでもグルタミン酸は、昆布だしの旨味と同じ成分だ。このグルタミン酸が、タイの発酵調味料に含まれる旨味成分と似ているために、響き合うと説明されてきた。
焼酎づくりでは、その一歩先に「蒸留」という作業を加える。蒸留とは、簡単に言えば、発酵させた液を温めて、先に蒸発してくる成分を集めて冷やし、取り出すことだ。お湯を沸かすと湯気が立つように、沸点の低いアルコールや香りの成分が、先に気体になって出ていく。一方、旨味のもとであるアミノ酸や糖は蒸発しにくく、もとの液のほうに残る。だから焼酎には、日本酒のような旨味がほとんど移らない。焼酎に残るのは、アルコールと水、そして原料や発酵、蒸留から生まれた香りの成分だ。
旨味が「少ない」ことの意味
タイ料理は、甘味・酸味・辛味・塩味に、ときに苦味や旨味も加わって、ぶつかり合いながら重なることで、あの複雑な味をつくっている。
旨味の強い酒は、料理の旨味と響き合うこともあれば、この複雑な味とぶつかって、料理の輪郭をぼやけさせることもある。旨味の少ない焼酎は、そもそもぶつかる成分が少ない。これは相性の良し悪しという話ではなく、酒に干渉する味が少なければ、料理の味と干渉しにくい、という単純な理屈だ。
辛さのもとであるカプサイシンは、水にはほとんど溶けないが、アルコールには溶けやすい。この性質の違いが、辛さの感じ方にも関わっていると考えられている。旨味が引き算された焼酎の性質は、こうした成分どうしの関係からも読み解ける。
引き算しても、消えないもの
「引き算の酒」とはいえ、原料の香りまで消えるわけではない。芋・麦・米・黒糖といった原料がもつ香りの成分は、蒸留のときに一緒に取り出され、焼酎の個性になる。芋は甘く、土を思わせる香り、麦は穀物のような軽い香り、米は丸みのある香り。そんなふうに語られてきた。
さらに焼酎は、水で薄めたり、冷やしたり、炭酸を加えたりすることでも、アルコールの濃さや香りの出方が変わる。同じ一本でも、その表情は一つに定まらない。
「日本の酒」の中にある化学
蒸留という一つの工程が、酒から何を引き、何を残すのか。旨味を引き算し、香りを選び取る。その仕組みを知ると、「日本の酒」とひとまとめにされてきたものの中に、じつは大きな幅があることが見えてくる。
日本酒が旨味を「ためる」酒だとすれば、焼酎は、引き算によって輪郭がくっきりする酒だ。同じ原料、同じ麹から出発しても、蒸留をするかどうかで、まったく違う味の化学へと道が分かれていく。
This article is intended solely to explore the distillation process and flavor characteristics of Japanese shochu, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับกระบวนการกลั่นและลักษณะรสชาติของเหล้าโชจูญี่ปุ่นเท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ
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