
米の92%を削り落として、残った8%──楯野川「極限」に宿る、ある蔵の選択と集中
一粒の米を磨いて、磨いて、磨き抜く。最後に残るのは、もとの重さのわずか8%。残りの92%は、糠として削り落とされる。その精米には、およそ40日を要する。山形県酒田市の楯の川酒造が醸す純米大吟醸「極限(きょくげん)」は、その名のとおり、極限まで米と向き合った一本である。
1832年の蔵が、2010年に下した決断
楯の川酒造の創業は1832年。藩主に酒を献じた縁から、その酒は「楯野川」と名づけられた。いまは蔵を代表する日本酒ブランドの名でもある。長い歴史を持つ蔵だ。
その蔵が、2010年に大きな決断を下す。普通酒を含む、純米大吟醸以外の商品をすべてやめる。これからは純米大吟醸だけを造る。山形県で初めての「全量純米大吟醸蔵」への転換だった。6代目蔵元・佐藤淳平氏が選んだのは、手を広げることではなく、一点に絞り込むことだった。そして2013年、その選択と集中を象徴する旗艦として、「極限」は生まれた。
つまりこの一本は、蔵がたまたま高級な酒を出した、という気まぐれではない。蔵全体の覚悟が、そのまま液体になったものなのだ。
「8%」という数字の意味
精米歩合8%とは、玄米を磨いたあとに残る白米が、もとの重さの8%だということ。大吟醸の基準が精米歩合50%以下であることを思えば、その徹底ぶりが伝わる。
原料は兵庫県産の山田錦100%。米の表層にあるたんぱく質や脂質を限界まで削ることで、雑味のもととなる成分を抑える。残るのは、澱粉質に富んだ中心部に近い部分だ。仕込みは、2021年に完成した新しい蔵で、もろみの温度を0.1℃単位で管理しながら進められる。
「そこまで磨いたら、味が薄くなるのでは」と思うかもしれない。けれど、磨き抜かれたクリーンな酒質のなかにも、米由来の深みや丸み、長い余韻が感じられるという。引き算の果てに、なお豊かさが残る。それが「極限」の面白さだ。
和紙と、洋のチーズ
ボトルにも、蔵の美意識が表れている。ラベルは山形の伝統工芸「深山和紙」、外装は清潔感のある白いカートン。液体だけでなく、外装まで含めて整えられている。
蔵が公式に挙げるペアリングも興味深い。京湯葉のような繊細な和の一皿だけでなく、ブルーチーズやゴーダといった、コクのある洋のチーズまでが並ぶ。和の繊細さと、洋の濃厚さ。その両方をつなぐ食中酒として位置づけられている。
「極限」という名前が指すもの
極限とは、これ以上は進めないという到達点のこと。8%という精米歩合、40日という時間、0.1℃単位という精度。そのすべてが、この二文字に込められている。
ただ高価なだけの酒ではない。なぜ高価なのか、なぜ特別なのかを、ひとつひとつ言葉で説明できる一本。だからこそ、語る価値がある。日本酒が静かに世界へ広がるいま、山形の蔵が極限まで突き詰めたその思想は、ここバンコクでも、ひとつの物語として辿ることができる。
This article is intended solely to explore the brewing philosophy and cultural heritage of Tatenokawa Brewery and its Junmai Daiginjo “Kyokugen (ULTRA)”, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับปรัชญาการผลิตและมรดกทางวัฒนธรรมของ Tatenokawa Brewery และสาเก Junmai Daiginjo “Kyokugen (ULTRA)” เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ
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