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136キロの苺を漬け込んで、無色に仕上げる

AWAYUKI Strawberry Gin と、梅乃宿酒造が「恥」と呼ばれた日

栓を開けるまで、それが苺のジンだとは誰も気づかない。AWAYUKI Strawberry Ginの液色は、無色透明である。ふつうのジンと見分けがつかない。ところがキャップをひねった瞬間、熟れた苺の香りが立ちのぼる。香りは甘いのに、味わいは驚くほど乾いている。米国のライフスタイル誌『The Manual』は、これを「見た目はふつうのジン。けれど開けた途端に苺が弾ける」と評した。

This illustration supplements the product information and is not a photograph of the actual product. Details such as the bottle’s shape, colour and label may differ from the actual product. This page is provided for informational purposes only and is not intended to encourage the purchase or consumption of alcoholic beverages.

不思議なのは、その透明さだ。このジンは、ひと仕込みあたり約136キロの日本産高級苺を使う。スーパーのパックなら400パック以上に相当する量である。それだけの果実を浸け込みながら、最終的に色はほとんど残らない。糖分も加えない。残るのは香りと、ジンとしての硬い骨格だけだ。なぜそんな造り方ができるのか。答えは苺ではなく、奈良県葛城市にある一軒の酒蔵の歴史にある。

「日本酒蔵の恥」と呼ばれた決断

AWAYUKIを造るとされるのは、梅乃宿酒造である。1893年、初代・吉田熊太郎が創業した。蔵の前に立つ樹齢300年の梅の古木に、毎春ウグイスが訪れる。その光景を「まさに梅の宿だ」と称したことが、屋号の由来になったという。

百年以上、ここは日本酒の蔵だった。転機は2001年。日本酒の消費が縮んでいく現実を前に、4代目・吉田暁はリキュールと焼酎の製造免許を取得する。米と水と麹で醸す蔵が、果実に手を出す。当時は業界から冷ややかに見られ、「日本酒蔵の恥」とまで言われたと、蔵は振り返っている。

それでも吉田暁は退かなかった。2007年、果肉をまるごと詰めたリキュール「あらごし」シリーズを本格的に世に出すと、これが大きく当たる。いま梅乃宿の商品は、国内の果実酒市場でおよそ6本に1本を占めるまでになった。果実をいかに酒に溶かし込むか。その浸漬、すなわち素材を液体に浸して成分を引き出す技術の蓄積で、この蔵は深いところへ達した。恥と呼ばれた選択が、二十年をかけて、他にはまねしにくい強みに変わったのである。

香りだけを残し、色を捨てる

果実浸漬の達人がいて、はじめて「136キロの苺を入れても無色に仕上げる」という設計が成り立つ。

苺は、淡雪・パールホワイト・古都華の3品種。淡雪とパールホワイトは、赤い色素であるアントシアニンが遺伝的に蓄積されにくい、白やごく淡いピンクの希少な苺だ。色が薄いということは、酒に漬け込んでも液色を濃くしにくいということでもある。そこへ赤い古都華を少量重ね、香りに立体感を与える。色を出さずに香りだけを抽出する難題への答えが、品種の選び方そのものに組み込まれている。

味の設計も逆張りだ。多くのストロベリージンが甘口に振られるなか、AWAYUKI はジュニパーやコリアンダー、カルダモンといった古典的なボタニカルで辛口の骨格を組む。度数は44%。ピンク系のジンの多くが37.5%前後であることを思えば、力強さが際立つ。香りは華やかなのに、口に含むと甘さに頼らない。だからこそ本格的なミクソロジーの現場で、この苺のジンは単なる目新しさではなく、れっきとしたジンとして扱われる。

使う高級苺の一部は、形やサイズが市場の規格に合わず、本来なら捨てられたかもしれない果実だという。それを香りの原料に生かす。形の整わない果実から、澄んだ香りを取り出す。アップサイクルを静かに体現する一本でもある。

「苺のジン」という言葉が変わるとき

ひとつ、はっきりさせておきたい。AWAYUKIは梅乃宿酒造の自社ブランドではない。米国のICONIC Spiritsが企画・所有するブランドで、梅乃宿はその造り手とされる。梅乃宿酒造自身のUMENOYADO GINや、「あらごし」の苺リキュールとは別の一本だ。同じ蔵の名が背景にあっても、混同してはいけない。

日本のクラフトジンは、いま静かな追い風のなかにある。京都蒸溜所が2016年に日本初のジン専業蒸溜所として「季の美」を世に出して以来、この国の蒸溜技術への注目は世界で高まってきた。ピンク色で、甘くて、入門用。ストロベリージンに長く貼られてきたレッテルを、無色透明で辛口の一本が静かに剥がしていく。

栓を開けるまで、それが苺のジンだとは誰も気づかない。けれど一度その香りを知れば、もう同じ言葉では呼べなくなる。それは、「恥」と呼ばれた決断の先で、二十年をかけてたどり着いた、ひとつの到達点の香りでもある。


This article is intended solely to explore the distillation craft and cultural heritage of Umenoyado Brewery and the AWAYUKI Strawberry Gin brand, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับเทคนิคการกลั่นและมรดกทางวัฒนธรรมของ Umenoyado Brewery และแบรนด์ AWAYUKI Strawberry Gin เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ


“地御前牡蠣の殻がジンに入る日” / “和の素材が、世界市場へ” / “世界のジンが沈むなかで、日本産ジンだけが浮かぶ理由” / “「ウイスキーの次」を探しているバンコクのバーへ──ジャパニーズクラフトジンという選択肢の実務ガイド”


AWAYUKI Strawberry Flavored Japanese Gin

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