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米のベルモットという選択──148年の球磨焼酎蔵が「引き算」で描いたアペリティフ

米のベルモットという選択──148年の球磨焼酎蔵が「引き算」で描いたアペリティフ
バンコクのバーで「マティーニを、ジンとこれで」とベルモットの瓶が指し示されるとき、その瓶の中身が欧州のブドウではなく、九州の米でありうるという前提は、長いあいだ存在しなかった。2021年、熊本の一つの蔵がその前提を静かに書き換えた。堤酒造のサケベルムース「Oka Kura Japanese Bermutto」である。
148年、球磨の焼酎蔵がたどり着いた「もう一つのベルモット」
堤酒造は1878年、熊本県球磨郡あさぎり町で創業した米焼酎の蔵である。球磨焼酎はWTOのGI(地理的表示)として保護されており、コニャックやスコッチのように地名を名乗ることが許された希少なカテゴリーである。米と水と麹を扱い続けてきたこの蔵は、創業から143年目にあたる2021年、西洋のアペリティフ文化のなかに、米の酒で一つの席を得た。
ベルモットとは、もともと酒精強化ワインにハーブを浸して香りづけした食前酒である。イタリアのマルティニ、フランスのドラン・シャンベリーといった老舗が、19世紀から続く文法を守り続けてきた。堤酒造があえて選んだのは、その文法のなかで、ベース酒だけを静かに差し替えるという方法だった。ワインの代わりに純米酒、ブランデーによる補強の代わりに球磨焼酎を用いる。米から生まれた「米のベルモット」が立ち上がる。
4つのボタニカルで描く、引き算のプロファイル
クラシックなベルモットでは、ボタニカルはしばしば30種から50種に及ぶ。堤酒造が選んだのは、ヨモギ、柚子、カボス、山椒の4種である。
設計の静かな発明は、ヨモギの位置にある。欧州のベルモットを支配してきたのはニガヨモギ(Wormwood)であり、ベルモットという語そのものの語源をなすハーブである。堤酒造はニガヨモギを使わず、日本の野山に自生するヨモギを採用した。草餅に使われ、日本の食卓で親しまれてきた植物である。ベルモットの骨格を保ちながら、その芯の部分を日本の食卓の語彙に接続するという設計判断である。
柚子とカボスは九州の柑橘の代表であり、山椒は和食の調味の縦軸として働いてきた。西洋のハーブを数十種重ねて複雑さを主張するのではなく、4つの日本の素材に絞って主題を描く。引き算が、日本の輪郭を静かに浮かび上がらせている。
マティーニの骨格を、崩さない
サケベルムースの設計目標は、クラシックカクテルの骨格を壊さないことである。ジンと合わせてマティーニを組むとき、ベースのジンを際立たせるのがベルモットの役割であり続けてきた。米由来の穏やかな甘みと、柚子・カボスの柑橘、山椒のわずかなスパイスが、ジンの輪郭の周囲で静かに円を描く。ネグローニの文法のなかに置かれたときも、ビターとベースの間を米の余白がつなぐ。
720ml瓶、アルコール度数18%、ドライ寄りの辛口。開栓後は冷蔵で2週間ほどが目安となる。ワインと同じ扱いを必要とするこの設計そのものが、米の酒のもう一つの姿勢を静かに語っている。
バンコクのアペリティフの棚に、米の席ができる
バンコクのファインダイニングやオーセンティックバーにとって、アペリティフの棚はこれまで欧州産ベルモットの独壇場だった。そこに、熊本の球磨焼酎蔵が148年かけてたどり着いた一本が並ぶ。マティーニやネグローニという古典の文法のなかで、日本の食卓の語彙が静かに顔を出す。
引き算で選ばれた4つの植物と、球磨の地で磨かれた米の骨格。堤酒造のサケベルムースは、日本の発酵文化が西洋の食卓に挨拶するもう一つの方法を、バンコクのテーブルのうえで静かに提示している。
This article is intended solely to explore the blending craftsmanship and cultural heritage of Tsutsumi Shuzo and the Oka Kura Japanese Bermutto brand, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับศิลปะการผสมผสานและมรดกทางวัฒนธรรมของ Tsutsumi Shuzo และแบรนด์ Oka Kura Japanese Bermutto เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ
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