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下戸の杜氏が手がけた、有機米の一本
農口尚彦研究所「有機米使用 純米吟醸 無濾過生原酒 2019」

「酒造りの神様」と呼ばれる男がいる。農口尚彦(のぐち・なおひこ)。1932年、石川県の杜氏一家の三代目に生まれ、16歳で酒造りに入り、28歳の若さで菊姫の杜氏となった。能登杜氏四天王のひとり。全国新酒鑑評会の金賞を計26回獲得している。2006年に「現代の名工」、2008年に黄綬褒章、2023年に文化庁長官表彰を受けている。
特異なのは、本人が「下戸」だということだ。一合も飲めば酔うという。だからこそ自分の舌だけに頼るのではなく、客のもとへ足しげく通い、飲み手の声を聴いて味覚を磨いてきた。
伝説の杜氏が、もう一度蔵を構えた
2017年、農口氏は2年間の引退を経て、自らの名を冠した蔵を石川県小松市に開いた。「株式会社農口尚彦研究所」。技術と精神と生き様を、次世代に継承するための研究所である。
この蔵が世に送り出した一本が「有機米使用 純米吟醸 無濾過生原酒 2019」である。
三つの難しさが重なる設計
この設計には、三つの難しさが重なる。
第一に、原料。石川県小松市産のJAS認定有機栽培米「五百万石」を用いる。日本酒で有機認証の米を使う蔵は、いまも極めて少ない。
第二に、加工。火入れ(加熱殺菌)も濾過も加水も行わない「無濾過生原酒」。蔵元の意図がもっとも純粋な形で酒に反映され、瓶詰めされる状態である。
第三に、熟成。氷温環境下で約3年にわたって生のまま熟成させる「生熟成」。生酒は常温では数日で劣化するため、酵母の活動をぎりぎりのところで制御する徹底した温度管理が不可欠となる。卓越した発酵制御技術なしには、商業レベルでの実現は難しい設計である。
精米歩合は60%。あえて大吟醸クラス(50%以下)まで磨かず、米の旨味を残す設計である。アルコール度数は19%。加水を行わない原酒ならではの骨格を備えている。瓶にはチェコ製のガラスキャップ「Vinolok」が用いられ、UVカット保護袋が付属する。生酒の繊細さを、最後の工程まで設計によって守り抜く姿勢が貫かれている。
温度で表情が変わる一本
3年にわたる氷温生熟成を経た酒は、冷酒では青りんごや和柑橘を思わせる溌剌としたフレッシュさを保ち、温度が上がるにつれてカスタードクリームのような熟成由来の旨味が開いていく。一本の酒が温度帯によって劇的に表情を変える、極めてガストロノミックな設計である。
バンコクの食卓へ
生酒であるため、石川からタイまでの輸送には、繊細な香味を守るための厳格なコールドチェーンが欠かせない。その厳しい条件を満たせる場だけが、この一本を扱える。
「酒造りの神様」が、有機米と3年の氷温生熟成という難しい条件の組み合わせで生み出した一本。バンコクのファインダイニングのカウンターで、その物語は静かに語られはじめている。
This article is intended solely to explore the brewing philosophy and craft of Noguchi Naohiko and the Noguchi Naohiko Sake Institute, including the Junmai Ginjo Non-filter Nama-Genshu 2019 using JAS-certified organic Gohyakumangoku rice and three years of sub-zero nama-jukusei aging, and is not intended to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับปรัชญาการผลิตและงานฝีมือของ Noguchi Naohiko และ Noguchi Naohiko Sake Institute รวมถึงสาเก Junmai Ginjo Non-filter Nama-Genshu 2019 ที่ใช้ข้าว Gohyakumangoku ออร์แกนิกที่ได้รับการรับรอง JAS และการบ่ม Nama-Jukusei ที่อุณหภูมิต่ำกว่าศูนย์เป็นเวลา 3 ปี เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ
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