日本の醸造文化
日本酒を、蔵元から読む
蔵元・製造者、代表銘柄、地域、ラベル用語を一次情報から結ぶためのガイドです。
全国を同じ基準で見る
銘柄の背後にある、蔵と土地をたどる
日本酒の名前だけでは、誰がどこで造り、どの銘柄を公式に掲げているかは分かりません。このガイドは、全国団体の現行検索を基礎に、現行会員名簿、国税局酒蔵マップ、清酒製造免許資料、蔵元・自治体の公式情報を照合し、都道府県別に北から南へ整理します。
現在版は中央会検索1331件に、一次情報で確認した72製造場を補完し、8件の承継・法人名・所在地・銘柄情報を更新しました。公式英語名がない65件は日本語を残し、代表銘柄が公表確認できない6件は推測せず「公開確認なし」と表示します。
「日本酒」と表示できる条件
国税庁は2015年(平成27年)12月25日、清酒を対象とする地理的表示として「日本酒」を指定しました。この指定により、原料の米に国内産米のみを使用し、かつ日本国内で製造された清酒に限って「日本酒」と表示できます。輸入米を使ったもの、海外で製造されたものは、酒税法上の清酒であっても「日本酒」を名乗れません。
酒税法上の「清酒」は、米、米こうじ、水などを原料として発酵させ、こしたもので、アルコール分22度未満のものと定められています。「こす」工程の有無が、清酒とどぶろく等を分ける法的な境界です。
この基準は表示と品目に関するものです。蔵元が免許を持つことや、商品が流通していることが、個々の商品の品質や特定名称への該当を証明するものではありません。
特定名称8種の読み方
「清酒の製法品質表示基準」(平成元年国税庁告示第8号、平成2年4月適用)により、要件を満たす清酒だけが特定名称を表示できます。分類は精米歩合、使用原料、こうじ米使用割合で決まります。
| 特定名称 | 使用原料 | 精米歩合 | こうじ米使用割合 |
|---|---|---|---|
| 純米大吟醸酒 | 米、米こうじ | 50%以下 | 15%以上 |
| 純米吟醸酒 | 米、米こうじ | 60%以下 | 15%以上 |
| 特別純米酒 | 米、米こうじ | 60%以下または特別な製造方法(要説明表示) | 15%以上 |
| 純米酒 | 米、米こうじ | 規定なし | 15%以上 |
| 大吟醸酒 | 米、米こうじ、醸造アルコール | 50%以下 | 15%以上 |
| 吟醸酒 | 米、米こうじ、醸造アルコール | 60%以下 | 15%以上 |
| 特別本醸造酒 | 米、米こうじ、醸造アルコール | 60%以下または特別な製造方法(要説明表示) | 15%以上 |
| 本醸造酒 | 米、米こうじ、醸造アルコール | 70%以下 | 15%以上 |
精米歩合とは、白米の玄米に対する重量の割合です。精米歩合60%は、玄米の表層部を40%削ることを指します。醸造アルコールを使用できる場合も、その量は白米重量の10%以下に制限されています。特定名称酒に使う白米は、農産物検査法で3等以上に格付けされた玄米を精米したものに限られます。
「純米酒」の精米歩合要件(かつての70%以下)は2003年(平成15年)の改正で削除され、代わりにこうじ米使用割合15%以上が全特定名称に追加されました。精米歩合の数字だけで新旧の基準を比較できない理由がここにあります。
ラベルに書かれること、書けないこと
同じ表示基準は、特定名称以外についても3層のルールを定めています。
表示しなければならない事項は、原材料名(特定名称酒は精米歩合を近接表示)、生酒など加熱処理をしない清酒の保存・飲用上の注意事項、輸入品の原産国名、外国産清酒を使用した場合の表示、製造者名、製造場所在地、内容量、品目、アルコール分です。原則8ポイント以上の日本文字で表示します。
表示してはならない事項は、「最高」「第一」「代表」など業界における最上級を意味する用語、品評会等で受賞したかのように誤認させる用語、官公庁が推奨しているかのように誤認させる用語、特定名称酒以外への特定名称に類似する用語(説明表示がある場合を除く)です。
2023年(令和5年)1月1日施行の改正で、製造時期の表示は必要記載事項から任意記載事項に変更されました。受賞の記述に関する任意記載事項の規定も廃止され、代わりに受賞・官公庁推奨の誤認表示が禁止事項に追加されています。ラベルに製造時期がないことは、基準違反を意味しません。
地理的表示は「日本酒」だけではない
清酒を対象とする地理的表示は、全国を範囲とする「日本酒」のほか、地域を範囲とするものが22件指定されています(2026年7月31日時点、計23件)。最も古いものは2005年(平成17年)12月22日指定の白山(石川県白山市)、最も新しいものは2025年(令和7年)10月1日指定の京都・鳥取・福岡です。
地域の地理的表示は、それぞれ産地の範囲と生産基準が個別に定められています。同じ都道府県の蔵元であることと、その地理的表示の生産基準を満たすことは同じではありません。
公式統計と本ディレクトリの違い
国税庁「酒のしおり」(令和7年7月版)統計表14によれば、令和5年度の清酒製造免許場数は1,525場(本書き)、ほかに他の品目を主とする免許場のうち清酒免許を併せ持つものが158場(外書き)です。
本ガイドのディレクトリ1,403件は、これとは別の数え方です。免許場単位の行政統計ではなく、蔵元・製造者と代表銘柄を公開一次情報から編集した記録であり、休造中の蔵、複数免許場を持つ蔵、公開情報が確認できない蔵の扱いが統計とは異なります。両者を同じ数字として扱わないでください。
編集上の開示
Bacchus Globalは酒類業界の事業者です。本ガイドは、ランキングや購入案内ではなく、出典を確認できる情報資料として制作しています。価格、在庫、割引、購入方法は掲載しません。
