
川越
タイ米が、宮崎の焼酎として里帰りする。19代続く家族蔵で、朝掘り当日の黄金千貫とタイ米麹、大正期からの備前焼甕が出会う、国富とタイを静かにつなぐ本格芋焼酎です。
麹米に選んだ、タイ米
川越酒造場は麹米にタイ米を用います。19代目・川越雅博氏は「焼酎のルーツはタイ。だからタイ米は焼酎に合った米」と語ります。バンコクでこの酒を味わうとき、身近な米が宮崎の蒸留酒として戻ってくる。このつながりは意匠ではなく、造りの中にあります。
朝掘りの芋を、その日のうちに仕込む
宮崎県産黄金千貫は朝に掘り出され、その日のうちに仕込みへ進みます。一次仕込みに使うのは、大正時代に据えられた備前焼の甕。その後は常圧蒸留へ。瞬間的な鮮度と、百年を超えて蔵に残る器が、一つの酒造りの中で交差します。
量ではなく、酒の質を見つめる
空調のない蔵で、外気の変化を五感で受け止めながら発酵を管理します。瓶詰め、検品、ラベル貼り、和紙ラベルの裁断までが手作業です。銘柄数を絞り、量を追うのではなく、酒の質を高めることを軸にする蔵の姿勢が、川越の輪郭をつくっています。
タイと宮崎をつなぐ、四つの方向
川越の商品ページに記録されているのは、香りや味わいの言葉ではなく、造りの記録です。タイ米麹と朝掘りの黄金千貫、大正期から使う備前焼の甕での一次仕込み、常圧蒸留、そして量より質を追う手仕事—この四つの製法的特徴をもとに、料理との重なりを読み解きます。蔵元が公式に示した組み合わせではなく、記録された特徴からの読み取りです。
参考資料『ロジカルペアリング』が示す「フレーバーは同調(似た方向の香り)と組合せ(異なる香りの重なり)で設計する」という考え方と、『すし・和食のペアリング法則』が示す焼酎特有の低い鉄分—料理に寄り添い、生臭みを促進しない性質—を参照しています。タイ米麹の方向は、記録された製法上の事実からの意図的な橋渡しであり、断定的な官能評価ではありません。
宮崎・国富で、19代続く家族蔵
川越酒造場は、江戸時代末期から続く宮崎県国富町の家族蔵です。19代目の川越雅博氏が、小規模で手作業を重ねる酒造りを守っています。2002年には、川越の名がANA国際線ファーストクラスに採用され、蔵の歩みに印象的な一章を刻みました。
