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五感とデータが、同じ蔵で出会うとき──28歳の杜氏とAIが描く、日本酒造りのもう一つのかたち

五感とデータが、同じ蔵で出会うとき──28歳の杜氏とAIが描く、日本酒造りのもう一つのかたち

五感とデータが、同じ蔵で出会うとき──28歳の杜氏とAIが描く、日本酒造りのもう一つのかたち

日本酒の酒蔵を訪ねると、杜氏が麹室の空気を手のひらで受けとめ、温度と湿度を肌で読む場面に出くわすことがある。「五感で醸す」という言葉は美しいが、その五感の持ち主が70代に差しかかり、後継者がいないと聞くと、美しさだけでは片づかない現実が見えてくる。2026年現在、日本の清酒製造場数は約1,100場である。1970年代のピーク時の半分を下回る水準にある。廃業の理由の多くは、後継者不足と人手不足である。蔵が閉じられるとき、杜氏の頭の中にある経験則、たとえば「この気温ならもろみの櫂入れを30分早める」「麹の香りがこう変わったら温度を0.5℃下げる」といった言語化しにくい判断は、引き継がれずに失われていく。いま、その「消えゆく勘」をデータとして残し、次の世代に手渡そうとする動きが、静かに、しかし確実に広がっている。

28歳の杜氏が、IoTセンサーで聴く発酵の声

SAKENOVAというブランドがある。CEO兼杜氏である新山大地氏は28歳。日本酒業界では異例の若さである。彼が注目されている理由は、年齢だけではない。醸造タンクにIoTセンサーを設置し、温度・糖度・pHをリアルタイムで取得している。そのデータをAIに学習させ、発酵プロセスの最適化を図っている。結果として人件費を約40%削減しながら、国際品評会で金賞を獲得した。「効率化のために味を犠牲にしているのではないか」という最初の疑念は、金賞という客観的な事実によって静かに退けられている。効率と品質は、必ずしも二者択一ではない。その一例がここに示されている。

京都の実験、AIが提案し、杜氏が実行する

横河電機と京都のクラフトブルワリー「Craft Bank」が共同で実施した実証実験も、興味深い結果を残している。AIが醸造データを解析し、最適な温度スケジュールを生成した。杜氏がそのスケジュールを実行したところ、発酵期間が14日から10日に短縮され、品質は維持された。短縮率にして約28%である。ここで重要なのは、AIが「杜氏の代わりに醸した」のではないという点だ。AIは温度スケジュールを提案しただけで、最終的な判断と実行は人間が担っている。この実験からは、AIは優秀なアシスタントであって指揮者ではない、という関係性が静かに見えてくる。

獺祭と富士通、1999年から続く静かな問い

旭酒造(山口県)の「獺祭」は、富士通と組んでAI予測モデルを開発している。数十年にわたる醸造データ、タンクの温度推移、精米歩合、酵母の種類、その年の気温などをモデルに学習させ、発酵中にリアルタイムで調整案を出す仕組みである。旭酒造について興味深いのは、もともと杜氏制度を廃止した蔵だという点である。1999年、桜井博志社長(当時)が杜氏に頼らないデータ管理型の醸造へ舵を切った。当時は異端視された判断だったが、結果として「獺祭」は世界的なブランドへと育っている。AIの導入は、その延長線上にある自然な進化とも言える。

AIは、置き換えではなく翻訳である

これらの取り組みに共通しているのは、自動化ではなく「見える化」を本質としている点だ。従来、麹室の温度管理は杜氏の体感に依存していた。「少し湿りすぎている」「もう半日待ったほうがいい」といった判断は正しいことが多いが、言語化しにくく、伝承が難しい。IoTセンサーとAIは、この「言語化しにくい判断」を、数値と履歴に翻訳する道具である。ベテラン杜氏が「今日は麹の機嫌がいい」と言うとき、その背後には温度・湿度・菌糸の伸び方・時間帯ごとの変化量という複数のパラメーターが存在する。IoTセンサーとAIはそれらを数値化・分析し、次の世代に伝えられるかたちに変える。杜氏の言葉が消えても、その意味は残る。

2026年、日本の醸造は静かな転換点を迎えている。五感で醸す時代が終わるのではなく、五感とデータが共存する時代が始まっている。海外のバーのカウンターでひと杯の日本酒が供されるとき、グラスの向こう側には、長年受け継がれてきた発酵の知恵と、IoTセンサーが拾う発酵の声と、その二つを翻訳する若い造り手の意志が、重なり合うように息づいている。


This article is intended solely to explore the brewing technology, cultural heritage, and emerging AI-assisted craftsmanship in the Japanese sake industry, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับเทคโนโลยีการผลิต มรดกทางวัฒนธรรม และนวัตกรรมการใช้ AI ในอุตสาหกรรมสาเกญี่ปุ่นเท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ

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