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火入れの回数とタイミングで、日本酒の呼び名は変わる――秋の酒「ひやおろし」の正体


火入れの回数とタイミングで、日本酒の呼び名は変わる――秋の酒「ひやおろし」の正体
日本酒には「火入れ」という工程がある。搾った酒を60度台まで加熱し、酵素の働きを抑えるとともに、微生物を殺菌して品質を安定させる作業である。日本酒の火入れは、パスツールが19世紀にワインなどに対する低温加熱の効果を科学的に示すより前から行われていたとされる。
この火入れを何回、どの段階で行うかによって、日本酒の呼び名は変わる。一般的には、火入れの回数によって0回、1回、2回に分類される。そして秋に出回る「ひやおろし」は、このうち火入れを1回だけ行う酒に当たる。
0回、1回、2回
一般的には、搾った酒を貯蔵する前に1回、瓶詰めして出荷する前にもう1回、火入れを行う。二度加熱することで、流通や保管の間に品質が変化するリスクを抑えられる。市場に並ぶ日本酒の多くがこれにあたる。
火入れを一度も行わない酒が「生酒」である。加熱していないため、搾りたての風味が残る一方で、酵素の活性が残り、微生物による変化も起こりうる。冷蔵での保管と輸送が欠かせず、時間が経つほど味わいは変化していく。
そして、火入れが1回だけの酒がある。ここで大切なのは、回数だけでなく、どの段階で加熱するかである。貯蔵する前に一度だけ加熱し、出荷前の2回目を省くものを「生詰め」と呼ぶ。逆に、貯蔵前には火入れをせず、出荷前に一度だけ火入れをするものは「生貯蔵酒」と呼ばれる。同じ1回でも、貯蔵前に行うか出荷前に行うかで、別の名前がつく。ひやおろしは、このうち生詰め酒の一種である。
「ひや」は「冷たい」ではない
ひやおろしという名前は、江戸時代に生まれたとされる。「ひや」のまま酒を「おろす」、すなわち出荷することから、ひやおろしと呼ばれる。ここで誤解されやすいのが、「ひや」の意味である。
この「ひや」は「冷たい」という意味ではなく、「常温」を指す。冬に仕込まれた酒は、春から夏にかけて蔵の中で貯蔵される。夏のあいだ、外気温は上がる。秋になると外気温が下がり、やがて蔵内の温度に近づく。その頃合いを見て、加熱せずそのまま出荷する。これが「ひやおろし」の語源とされる。
つまりこの名前は、味の説明ではなく、出荷のタイミングと方法を示している。蔵内の温度と外気温が近づく時期を待つという、季節そのものが組み込まれた名前である。
秋あがりとの違い
ひやおろしとよく並べて語られる言葉に、「秋あがり」がある。同じものと思われがちだが、指しているものが違う。
ひやおろしは、製法と出荷方法を表す言葉である。一般に、貯蔵前に一度だけ火入れをし、秋に二度目の火入れをせず出荷する。一方の秋あがりは、酒の状態を表す言葉である。夏を越して酒質が好ましく変化した状態を「秋あがり」と呼ぶ。ひやおろしとして出荷された酒が秋あがりの状態にあることも多いが、両者は同じ意味ではない。造り方を指すか、仕上がりを指すかの違いである。
秋の三か月には、それぞれ名前がある
ひやおろしが出回るのは、およそ9月から11月にかけてである。ひやおろしは、出荷される月によって呼び分けられることがある。
9月に出るものは「夏越し酒(なごしざけ)」と呼ばれる。夏を越えたばかりで、熟成はまだ浅い。10月は「秋出し一番酒」。蔵の中でひと夏を過ごし、味がまとまってくる頃とされる。11月は「晩秋旨酒(ばんしゅううまざけ)」で、三か月のなかで最も長く貯蔵された状態にあたる。
同じ蔵のひやおろしでも、出荷時期によって異なる呼び名が使われることがある。日本酒の季節感が、月単位で名前になっている例といえる。
貯蔵中には、何が変わっているのか
貯蔵のあいだに酒の中で起きている変化は、火入れの有無によって違う。慶應義塾大学先端生命科学研究所のメタボローム解析によると、火入れをしていない生酒では、貯蔵中に糖類やペプチド類が増える一方で、アミノ酸類は減っていく。ひやおろしのようにすでに一度火入れをした酒では、この糖類・ペプチド類の増加は見られず、アミノ酸類の減少はむしろ速くなる。いずれにしても、「熟成でアミノ酸が増えて旨味が増す」と説明されることがあるが、実際の化学変化はそれとは逆の方向に進む。
四季で名前が変わる酒
日本酒には、季節ごとの呼び名がある。冬から春には「しぼりたて」、夏には生酒を中心とした「夏酒」、秋には「ひやおろし」が多く出回る。同じ蔵でも、出荷の時期や火入れ・貯蔵の方法によって、異なる季節の名前をつけた酒を出すことがある。
「ひやおろし」という呼び名は、一度だけ火入れされ、蔵の中で夏を越し、外気温が下がるのを待って出荷された酒であることを示している。その呼び名には、酒造りの工程と季節が畳み込まれている。
This article is intended solely to explore the brewing methods and seasonal culture of Japanese sake, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับกรรมวิธีการผลิตและวัฒนธรรมตามฤดูกาลของสาเกญี่ปุ่นเท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ
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