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日本酒をカクテルに使うと、何が変わるのか

日本酒は、その香りや米由来の風味を中心に据えたカクテルの主材料になる。ジンなどの蒸留酒を日本酒に置き換える場合は、完成後のアルコール度数、液量、風味を考慮して設計し直すことが出発点である。
「主材料として使えること」と「別の酒を同じ量で置き換え、同じ仕上がりになること」は分けて考える必要がある。日本酒をカクテル素材として検討するバーにとって、この区別が配合を考える土台になる。
蒸留酒を置き換えると、アルコール度数と配合が変わる
例えば、アルコール度数40%のジン30mLには、純アルコールが12mL含まれる。15%の日本酒30mLでは4.5mLである。ほかの材料や氷から溶け出す水の量を同じにして置き換えると、完成後のアルコール度数は下がる。
日本酒を80mLに増やせば、純アルコール量は12mLになる。ただし全体量も増え、ほかの材料との割合が変わる。同じアルコール量を確保することと、完成後のアルコール度数をそろえることは、別の話である。
完成後のアルコール度数は、すべての材料に含まれる純アルコール量を、溶けた氷の水分を含むカクテル全体の液量で割り、100を掛けて求める。数値は、体積を単純に合算する概算である。
さらに、ジン由来の香りや風味は、日本酒由来の香りや米の風味へと変わる。置き換えは、完成するカクテルの構成を変える作業である。
ベルモットと蒸留酒では、置き換えたときに変わる要素が違う
ベルモットは、ワインに蒸留酒や香草などを加えた酒で、多くの製品では糖も加えられる。日本酒とアルコール度数が近い製品もある。
一方、ベルモットが持つ香草の香りや甘味も、カクテルの構成を支えている。日本酒に置き換える際は、こうした風味の変化も考慮する必要がある。アルコール度数が近い場合も、それぞれの酒の特徴に応じて、香りや味がカクテルの中で担う役割を考えることが基本である。
蒸留酒と日本酒を併用し、蒸留酒の香りと日本酒の風味を組み合わせる方法もある。この場合も、両方の酒の量とアルコール度数が完成後のアルコール度数を左右する。
日本酒の風味を中心に、全体のバランスを考える
主材料とは、カクテルの香りや味の中心を担う酒である。日本酒を中心に据える場合は、その香り、甘味、酸味、口当たりから全体を組み立てる。
アルコール度数の低さと、香りの強弱は別の性質である。実際の香りには製品ごとの特徴がある。果汁や溶けた氷の水分が加わると、日本酒由来の成分の濃度は下がり、ほかの素材の香りも重なる。混ぜたあとに、どの香りや風味がどの程度感じられるかを見ることが重要である。
少量を添える使い方では、別の酒を中心に据えながら、日本酒の風味や口当たりを加えられる。日本酒には、旨味に関わるグルタミン酸などのアミノ酸も含まれる。感じ取れる旨味の強さは、使う量や組み合わせによって変わる。
酸味にも同じ考え方が当てはまる。日本酒の酸味に柑橘や酢を使った素材の酸味が重なると、甘味とのバランスが変わる。日本酒の酸味を生かすのか、追加素材で補うのかという視点が、配合の理由を明確にする。
分類名に加え、実際の酒質を見る
「純米」では、米、米麹、水だけを原料にする。「吟醸」には、米を玄米の重さの60%以下まで磨くこと、低温でゆっくり発酵させる吟醸造り、固有の香りや味、色合いが良好であることなどの要件がある。米、米麹、水だけを原料とし、吟醸酒の要件を満たす酒には、「純米吟醸」と表示できる。分類名に加え、製品ごとの香りや味を見ると、素材としての特徴が具体的になる。
Bacchus Globalが取り扱う七賢は、山梨県北杜市の山梨銘醸が醸す日本酒である。純米吟醸の「天鵞絨の味」(ビロードの味)のアルコール度数は15%である。蔵元は、洋梨、黒胡椒、ミントを思わせる香り、滑らかな舌触り、軽快な酸味を特徴に挙げている。一方、純米の「風凛美山」については、米の旨味と爽快な辛口の味わいを挙げている。
これらは単体の酒質を表す説明であり、混合後の特徴は配合によって変わる。
にごりと泡も、素材の特徴になる
にごり酒は、発酵を終えた「もろみ」(米、米麹、水などの混合物)を粗くこし、細かな固形分を残した酒である。スパークリング日本酒は、炭酸による泡を持つ酒である。前者は口当たりや見た目、後者は発泡性に関わる。
七賢の「山ノ霞」は、うすにごりのスパークリング日本酒である。泡は、瓶の中で再び発酵させる「瓶内二次発酵」によって生まれる。1つの商品に、にごりの質感と発泡性が重なっている。
日本酒を使う理由は、香りや米由来の風味を、完成したカクテルのどこに置くかにある。主材料にするのか、別の酒と併用するのか、少量添えるのか。比較的低いアルコール度数も特性の一つとして考慮し、役割を決めることで、日本酒の特徴に沿った構成を考えられる。
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