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七賢「星ノ輝」がKura Master 2026でプレジデント賞|白州で育ててきたスパークリング日本酒

米と水から酒を醸し、瓶の中で泡を生む。Kura Master 2026の受賞から、七賢の開発の歩みをたどる。
2026年9月30日、フランスで開かれたKura Masterの授賞式で、「七賢 星ノ輝 スパークリング」が日本酒コンクールの最高賞、プレジデント賞を受賞した。審査委員長によると、10回目を迎えた大会で、この賞がスパークリング日本酒に贈られるのは初めてである。
七賢を醸すのは、山梨県北杜市白州町の山梨銘醸だ。Bacchus Globalは七賢を取り扱っているが、受賞した「星ノ輝」は現在の取り扱い商品には含まれていない。今回はこの受賞をきっかけに、同じ蔵で続けられてきた酒造りを見ていきたい。
フランスの審査で評価されたこと
Kura Masterは、フランスで開催される日本の酒のコンクールである。審査にはソムリエやレストラン関係者などが参加する。2026年には日本酒のほか、本格焼酎・泡盛、リキュール、ワインも審査され、それぞれのコンクールでプレジデント賞が選ばれた。
「星ノ輝」について、日本酒コンクールの審査委員長は、親しみやすさと複雑さを併せ持ち、高い技術が感じられると評価している。
受賞の背景を知るには、泡が生まれる仕組みと、蔵がその製法に取り組んできた歩みをあわせて見ると分かりやすい。
出発点は、白州の水だった
山梨銘醸の歴史は1750年に始まる。初代の北原伊兵衛は、白州・台ヶ原の水に出会い、この地で酒造りを始めた。現在の七賢にも、白州の水を生かして酒を醸すという考え方が受け継がれている。
酒造りは、蔵の中だけで完結する仕事ではない。1999年、山梨銘醸は農業法人「大中屋」を設立し、地元農家で構成される酒米生産者グループと米作りに取り組んできた。水を選び、米の作り手と関わり、その米をどう醸すかを考える。スパークリング日本酒の開発も、こうした酒造りの延長にある。
今回の受賞に際して、代表取締役社長の北原対馬氏は、酒米の供給を取り巻く環境は容易ではないとしたうえで、地元農家と共に歩み、白州の天然水を生かした酒造りを続ける考えを示している。
2015年から続く開発と、瓶内二次発酵
七賢が最初のスパークリング日本酒「山ノ霞」を発売したのは2015年だった。発売までに5年の開発期間をかけた。翌2016年に「星ノ輝」、2017年に「杜ノ奏」が続いた。今回の受賞に至るまで、10年以上にわたってスパークリング日本酒造りを続けてきたことになる。
「星ノ輝」の製法は、瓶内二次発酵である。これは、瓶の中でもう一度発酵を進め、そこで生じた二酸化炭素を酒に溶け込ませる方法だ。
日本酒造りでは、麹の酵素が米のでんぷんを糖に変え、酵母はその糖からアルコールと二酸化炭素を生む。通常の仕込みでは二酸化炭素が外へ逃げるが、密閉した瓶の中で発酵を進めれば、ガスを酒の中に保つことができる。瓶内二次発酵では、このガスを泡として生かすのである。
「星ノ輝」では、米から酒を醸す工程に加え、瓶の中で泡を生む工程も製品の特徴を形づくっている。
同じ七賢でも、製法には違いがある
Bacchus Globalが紹介している七賢の製品には、「山ノ霞」や「杜ノ奏」がある。どちらも瓶内二次発酵によるスパークリング日本酒だが、その特徴は同じではない。
「山ノ霞」は、うすにごりの酒である。甲斐駒ヶ岳にかかる霞をイメージした名前と、白くかすんだ外観が結び付いている。一方、「杜ノ奏」には、サントリー白州蒸溜所のウイスキー樽で寝かせた日本酒が用いられる。瓶内二次発酵に、樽での熟成という工程を組み合わせている。
同じ蔵のスパークリングでも、うすにごりに仕上げるか、樽熟成を組み合わせるかで、造り方は異なる。商品名を並べるだけでなく、どの工程で違いをつけているかを見ると、それぞれの特徴を具体的に説明できる。
受賞から、造り手の仕事へ
バンコクで日本酒を紹介するとき、受賞歴は関心を持ってもらう手がかりになる。発酵の仕組みや白州の水、地元農家との関わりまで伝えられれば、日本酒の説明はより具体的になる。
2015年の「山ノ霞」から、2026年にプレジデント賞を受賞した「星ノ輝」へ。七賢の歩みをたどると、七賢が白州で培ってきた酒造りに、瓶内二次発酵という工程を加え、製品ごとに異なる工夫を重ねてきたことが分かる。今回の受賞は、その積み重ねを知るきっかけでもある。
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