Blog
酸味は、どこから来るのか|アジアのバーが見つめる地域の味

カクテルの説明に「柑橘の酸味」と書かれていても、どの果実を、どのように使ったのかまでは分からない。果汁を搾ったのか、保存した果実を使ったのか。香りを引き出すために果皮を使った場合は、酸味とは別の説明が必要になる。
2026年1月、飲料専門メディアがアジアのバー業界の専門家15人に、その年の見通しを聞いた。そこでバンコクのホテルのバー責任者が挙げたのが「地域の酸味」だった。具体例は、未熟な果実、土地の柑橘、手仕事で造られる酢である。酸味を生む素材や加工品を、地域の食文化から探そうとする考え方である。
この言葉を手がかりにすると、飲み物の説明は「甘い」「酸っぱい」からもう一歩進む。どのような果実や穀物が育ち、それを人がどう加工して、飲料に使ってきたのか。その過程にも、地域の味を理解する手がかりがある。
果実の名前から、酸味の違いを考える
この責任者は、タイの食文化に根付く素材として、ポメロ、タンジェリン、カラマンシーにも触れている。ポメロは大型の柑橘類、タンジェリンはミカンの仲間、カラマンシーは小型の柑橘類である。
いずれも柑橘だが、同じ果実ではない。飲料に使うときには、酸味だけでなく、香りや甘み、苦みも関わる。果汁と果皮でも役割は異なるため、「柑橘を使う」という説明だけでは、完成した飲み物の特徴を十分に伝えられない。
たとえば、果汁の酸味を利用することと、果皮の香りを引き出すことを分けて説明する。未熟な果実なら、熟す前の段階を選んだ理由にも目を向ける。地域の素材を理解するには、名前や産地に加えて、使う部分や収穫の時期も知る必要がある。
保存してきた食べ物も、飲料の素材になる
地域の味を探す範囲は、収穫したばかりの果実に限られない。
ネパールの首都カトマンズにあるバーでは、山岳地域で受け継がれてきた保存や乾燥、発酵の技術をメニューの土台にしている。公式メニューには、果実を保存加工した菓子「カットゥ」を使うカクテルも載っている。カットゥは、塩漬けと乾燥の加工を施したプラムなどを使う、甘みと酸味のある菓子である。
ここでは、果実を保存するために受け継がれてきた加工技術も、飲料づくりに生かされている。生の果実を搾る場合とは、塩漬けや乾燥などの加工を経ている点で異なる。素材の説明にこうした加工の過程を添えると、地域の食文化の一端も見えてくる。
このバーは、国際的に知られるカクテルにも地元の素材を組み合わせている。地域の味を表現する方法には、受け継いだ食べ物を、別の飲料の形に取り入れる道もある。
地元で親しまれてきた食べ物なら、その素材を知る人は、飲料の説明を日常の料理や菓子と結び付けられる。慣れ親しんだ食文化を手がかりに飲料の特徴を理解できることも、地域の味に目を向ける意味の1つである。
発酵で生まれる酸味を知る
果実がもともと持つ酸味に加え、微生物の働きによって生まれる酸味もある。酢はその一例だ。酢酸菌がアルコールを酢酸に変える工程が、酢の酸味につながる。どの原料を使い、どのように発酵させたのかを知ることで、酢の特徴を具体的に説明できる。
日本酒の酸味についても、発酵の過程から考えることができる。米のでんぷんは、麹菌が作る酵素によって糖に分解される。酵母はその糖からアルコールを造り、発酵中にはリンゴ酸やコハク酸なども生成する。果実を加えなくても、酒造りの過程で酸味に関わる成分が生まれるのである。
ただし、成分の名前だけで味を説明することは難しい。日本酒には糖分やアミノ酸なども含まれ、酸の量だけで甘口・辛口の感じ方が決まるわけではない。「米から造る酒」と一括りにするより、原料と発酵の両方を見るほうが、その特徴を具体的に捉えられる。
柑橘の香りと、果汁の酸味を分けて読む
地域の素材を使う酒でも、製法によって素材の役割は変わる。
広島県の桜尾蒸留所が造る「SAKURAO GIN ORIGINAL」は、広島県産の柑橘などを香味素材に使う。香味素材をアルコールに浸す方法と、蒸気を香味素材に通す方法を組み合わせ、蒸留によって香りを引き出すジンである。
この製法を、果汁を搾って加える工程と同じように捉えることはできない。柑橘を思わせる香りがあることと、果汁に由来する酸味があることは、別の情報だからだ。同じ果実の名前が出てきても、何を取り出すために、どの工程で使ったのかを確認すると、説明が明確になる。
バンコクのバーで日本産の酒を紹介する際も、産地名や素材名に加えて、こうした製法も説明できる。「柑橘を使う」「発酵させる」という短い言葉だけで済ませず、使う部分や加工の工程まで具体的に伝えるのである。
「地域の酸味」を考えるには、酸っぱさの強さに加えて、素材の選び方や加工の過程にも目を向けたい。果実のどの部分を使ったのか、どのような保存加工を施したのか、発酵で何が生まれ、蒸留で何を取り出したのか。飲料の素材をそこまでたどると、その土地の味を、原料と加工の両面から説明できるようになる。
関連記事
商品情報
This article explores regional ingredients, preservation, fermentation and distillation in Asian bar culture, including the production of SAKURAO GIN ORIGINAL at Sakurao Distillery, for educational purposes. It does not promote the purchase or consumption of alcohol. Intended for adults aged 20 and over.
บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อให้ความรู้เกี่ยวกับวัตถุดิบท้องถิ่น การถนอมอาหาร การหมัก และการกลั่นในวัฒนธรรมบาร์เอเชีย รวมถึงการผลิต SAKURAO GIN ORIGINAL ที่ Sakurao Distillery มิได้มีเจตนาส่งเสริมการซื้อหรือการบริโภคเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป
Discover the culture behind every bottle
We share brewery stories, tasting notes and the craft of koji & fermentation | for educational and cultural purposes only.
เราถ่ายทอดเรื่องราวจากผู้ผลิต บันทึกรสชาติ และศาสตร์แห่งโคจิและการหมัก | เพื่อการศึกษาและวัฒนธรรมเท่านั้น
Follow on Instagram Facebook