Bacchus
LINE

Blog

「酒を売る会社」がノンアルコールを売る理由

アジア飲料業界で進む、静かな事業転換

アジアの飲料市場で、これまでの常識が静かに覆りつつある。

何十年もアルコールを造り、売ってきた大手メーカーが、いまノンアルコール飲料へ事業資源を移し始めている。韓国の業界誌Seoulzは2026年、この動きを「酒類大手がウェルネス商品の売り手に変わった経緯」として特集した。これは消費者の好みが変わったという話ではない。産業そのものの再編である。そして、この連鎖の先に、バンコクの飲食市場と日本産飲料の流通がつながっている。

日本が「先導国」とされる理由

欧米発とされてきたSober Curious(飲むかどうかを意識的に選ぶ姿勢)という考え方を、アジアで早くから市場に取り込んだ国はどこか。その先行例として、調査会社ユーロモニターは日本を挙げる。

背景には複数の構造要因がある。大手ビールメーカーが1980年代後半から低アルコール飲料や発泡酒を開発し続けてきたこと。茶・清涼飲料・機能性飲料の市場が世界でも有数の多様さを持つこと。そして都市部で「飲まないことを特別視しない空気」が定着しつつあること。これらが重なり、日本は飲料の多様化でアジア太平洋地域の先行事例になっている。

注目すべきは、これが消費者の行動だけの話ではない点だ。大手メーカーが商品構成を組み替え、製造設備を転用し、販売投資の配分を見直している。企業がこの規模で動くとき、それは流行ではなく構造変化を意味する。

韓国:競合ではなく「事業の転換」を選んだ

韓国の事例は、この変化のもっとも鮮明な例として注目される。

ゼロアルコール市場が明確に伸びるなか、大手メーカーが採った戦略は、同じカテゴリー内での価格競争でも市場シェア争いでもなかった。消費者が向かう方向へ、事業そのものを移すことだった。工場、全国の流通網、長年かけて築いたブランドという資産がある。それを活かし、同じブランドのノンアルコール版や機能性飲料を展開する。「競合を倒す」のではなく「自分たちの事業を転換する」。飲料業界の常識からすれば、発想の逆転といえる。

こうした大手の動きは、プレミアム輸入飲料の市場にも波紋を広げる。かつて「アルコールの棚」という限られた領域で競っていた商品が、ノンアルコールや低アルコールも並ぶ多様な選択肢のなかで、自分の位置を主張しなければならなくなる。

タイ:7.3%という数字が示す変容

タイでも数字が動き始めている。調査会社スタティスタによれば、タイのノンアルコール飲料市場は2026年に7.3%の数量成長が見込まれている。飲料全体のなかでも比較的高い伸びであり、消費者の選択肢のなかでノンアルコールが占める割合が着実に増えていることを示している。

2026年4月のソンクラーン(タイ正月)には、バンコクの一部エリアで祝祭時のアルコール販売に対する規制が強められた。英国の業界誌The Drinks Businessが報じたこの動きは、祝祭と飲料消費の場面に対する政府の介入姿勢を示している。こうした規制環境は、飲食店がノンアルコールの取り扱いを強める動機としても働く。

物語の密度という、もう一つの差別化軸

大手がノンアルコール市場に参入すると、輸入プレミアム飲料の競争は厳しくなるように見える。だが構造を深く読むと、逆の含意が浮かぶ。

大量生産と大量流通を得意とする大手が強いのは、価格と流通網だ。彼らが提供しにくいのは、生産者の哲学、土地の個性、積み上げた技術の物語である。日本酒や焼酎、クラフトスピリッツといった輸入プレミアム飲料の価値は、まさにこの「大量生産では代えがたい物語の密度」にある。原料や水、製法にこだわり、数十年の技を重ねた一本を、同じ価格帯のブランド飲料と同じ棚で競わせることはできないし、その必要もない。

ここで輸入業者に問われるのは、品質を前提としたうえで、「この一本が存在する理由」を現地の飲食店と顧客に届ける言葉と場を整えられるか、である。韓国の大手が事業転換を選んだという事実は、バンコクで日本産飲料を扱う側にとっても、無縁の話ではない。選択肢が増える時代に選ばれ続けるために何が要るのか。その問いは、いま、アジア全体で同時に投げかけられている。


This article is intended solely to explore the structural shifts in the Asian non-alcoholic beverage market and their implications for the food and beverage industry, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับการเปลี่ยนแปลงเชิงโครงสร้างในตลาดเครื่องดื่มไม่มีแอลกอฮอล์ของเอเชีย และผลกระทบต่ออุตสาหกรรมอาหารและเครื่องดื่มเท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ


“「飲まない人の一杯」はなぜ物足りないのか|麹の四つの力が、ノンアルに飲みごたえを与える” / “「飲まない客」が増えている──バンコクの飲食店が低アルコール・ノンアルコールメニューで売上を守るための実務ガイド” / “主流の前提を一つ外す|小さな酒販店が生き残るための知的動作” / “物語がインフレを起こす前に|確かめておくべきこと”

日本酒の、もうひとつの顔

Discover the culture behind every bottle

We share brewery stories, tasting notes and the craft of koji & fermentation — for educational and cultural purposes only.

เราถ่ายทอดเรื่องราวจากผู้ผลิต บันทึกรสชาติ และศาสตร์แห่งโคจิและการหมัก — เพื่อการศึกษาและวัฒนธรรมเท่านั้น

Follow on Instagram
Facebook

Age Verification

This website contains information about alcoholic beverages and is intended for audiences aged 20 and above. Please confirm your age to continue.