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主流の前提を一つ外す――小さな酒販店が生き残るための知的動作

主流の前提を一つ外す――小さな酒販店が生き残るための知的動作

偶然並んだ三つの資料

ある朝、机の上に三つの資料が並んだ。

一つは熊本県の球磨焼酎蔵「堤酒造」が出している「KUMA TOMATO」というトマト系のリキュールに関するメモ。一つは中西崇文氏の書籍『次世代AI 日本の勝ち筋』の要約。もう一つは、バンコクの飲食業界で広がる「Sober Curious(しらふを選ぶ)」という潮流を踏まえたメニュー設計の動向をまとめたブログ。

カテゴリーはまったく違う。リキュール、AI、飲食店経営。共通点を探そうとしても、表面的にはほぼ何もない。

しかし、三つを並べて読み直したとき、一本の太い糸が浮かび上がった。**いずれも「主流の前提を一つ外したところに勝ち筋を見出している」**という構造である。

それぞれが「外した前提」

KUMA TOMATOは、リキュールという商品ジャンルの常識を一つ外している。普通、リキュールは「完成された液体」として作られる。蔵元が味を決め、消費者はそれを楽しむ。けれども堤酒造は、トマトの旨味と球磨焼酎の骨格を組み合わせた液体を「**未完成な土台**」として設計した。バーテンダーが現場で完成させるための素材として位置づけたのである。完成品ではなく素材。この一つの転換が、新しいカテゴリーを生んだ。

中西氏が同書で外したのは、もっと大きな前提だ。AI開発は規模の競争――そう信じられてきた。データ量、計算量、パラメータ数で米中に追いつくべきだという議論が長く支配的だった。著者はこの前提を一つ外し、「**ドメイン特化、信頼性、社会実装**」で勝負する道を提示する。技術覇権ではなく社会受容。規模ではなく深さ。日本固有の勝ち筋はそこにある、というわけだ。

Sober Curiousの広がりは、飲食店経営の前提を揺さぶる。これまで飲食店は「酒を売って利益を取る」業態として設計されてきた。客がアルコールを頼まないことは、機会損失を意味した。しかし、世界の都市部で「飲まない選択をする顧客」が確実に増えている。バンコクも例外ではない。この層を切り捨てるのではなく、低アルコール・ノンアルコールのメニュー設計で取り込む店舗が、新しい売上構造を築き始めている。

三つに共通する知的動作

並べてみると、共通する動作が見える。**主流の枠組みでは負けが見えているとき、前提を一つだけ外して別の土俵を作る**。これは単なる「ニッチ戦略」とは少し違う。ニッチ戦略は既存の市場を細かく切り分ける発想だが、ここで起きているのは「市場の前提そのものを置き換える」操作である。

堤酒造は「リキュールは完成品である」という前提を、中西氏は「AIは規模が正義である」という前提を、Sober Curiousに対応するレストラン経営者たちは「飲食店は酒で稼ぐ場である」という前提を、それぞれ一つだけ外している。すべてを変革する必要はない。一つでいい。一つ外すと、別の土俵が見える。

酒販店の自問として

この構造は、輸入酒販業に携わる自分たちにとっても他人事ではない。

日本酒は「酔うための酒」である――そういう前提を置く限り、Sober Curiousの流れは脅威でしかない。しかし「日本酒は麹発酵文化を体験する触媒である」と前提を置き換えると、まったく別の景色が現れる。発酵を学びたい層、食文化に関心がある層、健康志向で深い体験を求める層。そうした人たちに向けた接点を、酒販店の中に新しく作れる。

タイ・バンコクという特殊な市場で、さらに酒類広告規制が強化された環境の中で、私たちはこれまで「体験マーケティング」という方向に舵を切ってきた。今日の三つの資料は、その方向の延長線上に、さらに可能性があることを照らしてくれている。

新しい資料を探すことよりも、既に手元にある資料同士を**思いがけない角度で並べ直す**こと。そこから生まれる小さな気づきの方が、戦略を一歩前に進めるのかもしれない。

*This article is intended solely to explore a structural pattern observed across three unrelated domains — a Japanese tomato-based liqueur from Tsutsumi Brewery (Kumamoto), Takafumi Nakanishi’s book “Japan’s Winning Path in Next-Generation AI” (Nikkei Premier Series), and the Sober Curious menu design movement in Bangkok’s restaurant scene — as a reflection on how shifting a single mainstream assumption can open new strategic ground for small businesses, including independent sake retailers, and is not intended to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อสำรวจรูปแบบเชิงโครงสร้างที่พบในสามอุตสาหกรรมที่ไม่เกี่ยวข้องกัน ได้แก่ ลิเคียวร์มะเขือเทศจากโรงสุรา Tsutsumi (Kumamoto), หนังสือ “เส้นทางชัยชนะของญี่ปุ่นใน AI ยุคถัดไป” โดย Takafumi Nakanishi (Nikkei Premier Series) และขบวนการออกแบบเมนู Sober Curious ในวงการร้านอาหารกรุงเทพฯ เพื่อสะท้อนว่าการเปลี่ยนสมมติฐานหลักเพียงหนึ่งข้อสามารถเปิดพื้นที่เชิงกลยุทธ์ใหม่ให้กับธุรกิจขนาดเล็ก รวมถึงร้านขายสาเกอิสระอย่างไร เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ*


This article is intended solely to explore a structural pattern observed across three unrelated domains — a Japanese tomato-based liqueur from Tsutsumi Brewery (Kumamoto), Takafumi Nakanishi’s book “Japan’s Winning Path in Next-Generation AI” (Nikkei Premier Series), and the Sober Curious menu design movement in Bangkok’s restaurant scene — as a reflection on how shifting a single mainstream assumption can open new strategic ground for small businesses, including independent sake retailers, and is not intended to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อสำรวจรูปแบบเชิงโครงสร้างที่พบในสามอุตสาหกรรมที่ไม่เกี่ยวข้องกัน ได้แก่ ลิเคียวร์มะเขือเทศจากโรงสุรา Tsutsumi (Kumamoto), หนังสือ “เส้นทางชัยชนะของญี่ปุ่นใน AI ยุคถัดไป” โดย Takafumi Nakanishi (Nikkei Premier Series) และขบวนการออกแบบเมนู Sober Curious ในวงการร้านอาหารกรุงเทพฯ เพื่อสะท้อนว่าการเปลี่ยนสมมติฐานหลักเพียงหนึ่งข้อสามารถเปิดพื้นที่เชิงกลยุทธ์ใหม่ให้กับธุรกิจขนาดเล็ก รวมถึงร้านขายสาเกอิสระอย่างไร เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ

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