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一日一組の宿が問いかけるもの──山梨銘醸「七賢」と、台ヶ原宿によみがえる歓待の作法

一日一組の宿が問いかけるもの──山梨銘醸「七賢」と、台ヶ原宿によみがえる歓待の作法

一日一組の宿が問いかけるもの──山梨銘醸「七賢」と、台ヶ原宿によみがえる歓待の作法

かつて旅人は、歩いて旅をした。江戸と甲府を結ぶ甲州街道沿いには、疲れた足を休める宿場町が点在し、その一つが山梨県北杜市の台ヶ原である。古い町並みが残るこの宿場に、1750年から酒を醸してきた蔵がある。日本酒「七賢」で知られる山梨銘醸だ。その蔵が2026年6月1日、初の宿泊事業に踏み出した。名を「宿場esoto(しゅくば えそと)」という。

旅人を迎えてきた土地の記憶

宿場町とは、ただ泊まるための場所ではなかった。長旅の途中の者を迎え入れ、湯と食事と眠りを差し出す。見ず知らずの旅人を一夜の客として遇する歓待の作法が、土地に根づいていた。台ヶ原はその記憶を留める場所であり、山梨銘醸はこの通りで二百七十余年、白州の伏流水とともに酒を醸してきた。「Water is our essence(水こそが私たちの本質)」という蔵の言葉は、南アルプスの水を事業の根幹に据える姿勢を示している。宿場esotoという名に「宿場」を冠したことは、その土地の歴史への敬意の表れであり、かつての歓待を現代のかたちで受け継ぐという宣言でもある。

宿場esotoは、明治40年頃に建てられた蔵元分家の屋敷を再生して生まれた。母屋に寝室やラウンジ、ダイニングを設け、別棟には蔵風呂を備える。施設名は「選び抜く・削ぎ落す・研ぎ澄ます」の頭文字に由来し、そこにはエッセンス、創造、扉という意味も重ねられている。

「一日一組」という選択

この宿を際立たせているのは、その規模である。受け入れるのは一日一組、最大でわずか四名。客室の数を競うのではなく、訪れた人が土地と深く向き合う時間そのものを設計している。

体験は三つの柱で組み立てられている。地元の食材と醸造の技を生かした美食、酒蔵と水の文化に触れる時間、そして蔵風呂と茶席による湯と茶のひととき。発酵技術から生まれたスキンケア「COJIE」の採用や、館内着を手がける「evam eva」との協働も、土地の手仕事と暮らしの美学を静かに伝える設えの一部だ。

量から質へ、静かに動くインバウンド

訪日旅行は、長く「数」で語られてきた。何人が訪れ、いくら使ったか。だが近年、関心の軸は確実に移りつつある。多くの場所を駆け足で巡る旅から、一つの土地に腰を据えて滞在し、その文化を身体感覚で知る旅へ。名所を写真に収める旅から、造り手と同じ水を飲み、同じ景色のなかで時を過ごす旅へ。世界的な志向が「より少なく、より良いものを」へと傾くなかで、宿場esotoのような少人数限定の滞在型施設は、その転換を映している。一日に一組しか迎えないという設計は、効率とは正反対の発想に見える。けれども、深く記憶に残る体験は、しばしば規模を絞ったところでこそ生まれる。

山梨銘醸はこの宿を「訪れる人々と地域をつなぐ新たなビジネスモデル」と位置づける。酒を造って出荷する蔵が、人を迎え入れる蔵へと役割を広げる。それは地域経済を潤すと同時に、日本の食文化と伝統的な暮らしの美学を世界へ手渡す試みでもある。

バンコクの食卓へ

山梨銘醸は、私たちがバンコクでも紹介してきた蔵の一つである。フランス料理界の巨匠アラン・デュカスと協働し、国際的な食の舞台でも知られる。遠く離れたタイで七賢という酒を知った人が、いつかその水を育む土地を訪ね、宿場の歓待に身を委ねる。そんな旅の入口を、私たちは静かに用意していきたいと思う。

小さくても、深く光る。宿場esotoが示すのは、規模ではなく密度で価値を生むという、これからの時代の歓待のかたちなのかもしれない。


This article is intended solely to explore the brewing philosophy and cultural heritage of Yamanashi Meijo Co., Ltd. and the Shichiken brand, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับปรัชญาการผลิตและมรดกทางวัฒนธรรมของ Yamanashi Meijo Co., Ltd. และแบรนด์ Shichiken เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ

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