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果汁50%という決断
平和酒造「鶴梅 ゆず」が業界の常識を覆した、三つの選択

一般的な柚子リキュールの果汁含有率は、業界平均で5%前後とされる。それは「飲みやすさ」「コスト」「保存性」の交点に位置する、長年の業界標準だった。
平和酒造の「鶴梅 ゆず」は、この数値を50%まで引き上げている。およそ10倍。同じカテゴリーの飲みものとして比較しがたいほど、別の設計が施された一本である。
50%が意味すること
果汁が液体の半分を占めるとき、何が起こるのか。
第一に、酸味が際立つ。柚子のクエン酸とリンゴ酸が、強い輪郭で前面に出る。第二に、香気成分の密度が増す。柚子に含まれるリモネンや、柚子特有とされるユズノン(セスキテルペンの一種)が、開栓の瞬間に大量に立ち上がる。第三に、保存が難しくなる。果汁はデリケートで、温度管理を誤れば数週間で香りが鈍る。
つまり果汁50%という仕様は、「正面突破だけでは成立しない設計」である。三つの問題を同時に解かなければ、商品として成立しない。
三つの選択
平和酒造の答えは、いずれも業界標準から外れた三つの選択だった。
第一に、ベースアルコール。一般的な果実リキュールが用いるホワイトリカー(甲類焼酎)の代わりに、自社で2年間熟成させた純米酒を使う。日本酒の旨味が、強い酸味を内側から包み込む。穀物由来のボディが、酸の鋭さに厚みを与える。さらに、熟成を経た酒は香りの角が取れているため、繊細な柚子の上立ち香を邪魔しない。
第二に、搾り方。皮を取り除いて果肉だけを搾る工業的手法ではなく、皮ごと搾る「全果搾汁」を採用している。柑橘の香気成分は皮の油胞に最も多く含まれる。皮を取り除いた瞬間に、もっとも個性的な香りの大部分が捨てられる。全果搾汁の採用は、過度な苦味を取り込むリスクと引き換えに、青々とした松のような香り、フローラルなニュアンス、そして液体に骨格を与える洗練された苦味を保持する判断である。
第三に、火入れ。瓶詰めしてから容器ごと加熱する「瓶燗火入れ」が採用されている。プレートヒーターでパイプ内の液体を瞬間加熱する標準的な手法では、揮発性の高い柚子のトップノートが熱で散ってしまう。瓶燗火入れは労働集約的でコストが高い。だが、開栓するまで瓶内に香りが閉じ込められる。
「醸造家のリキュール」という言葉
三つの選択は、独立しているように見えて、ひとつの哲学から派生している。「日本酒醸造の規律をリキュールに持ち込む」という思想だ。
平和酒造は、IWC(International Wine Challenge)のSAKE Brewer of the Yearを2019年と2020年に連覇した日本酒蔵である。精密な温度管理、麹管理、発酵速度の制御。そうした蓄積が、リキュールの設計にそのまま転用されている。
業界では、こうした商品群を「和リキュール」と呼ぶ。それは、2000年代初頭に日本酒消費の縮小に直面した蔵元たちが、自社の醸造技術を果実リキュールに応用しはじめた潮流である。平和酒造は、その先駆的な蔵のひとつだった。
第六回天満天神梅酒大会では、「鶴梅 ゆず」がリキュール部門の「天下御免(グランプリ)」を受賞している。ソムリエによるブラインドテイスティングで選ばれた、バランスのとれた造りへの評価である。
果汁50%という数字の背後には、業界が長らく「難しい」と見てきた設計を、別の道筋で成立させた一蔵の決断がある。一般的なリキュールが「飲みやすさ」を優先してきたのに対し、「鶴梅 ゆず」は「素材そのものの濃さ」を優先している。リキュールという言葉そのものの意味が、静かに書き換えられている。
This article is intended solely to explore the blending craftsmanship and cultural heritage of Heiwa Shuzo Co., Ltd. and the Tsuru-ume Yuzu brand, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับศิลปะการผสมผสานและมรดกทางวัฒนธรรมของ Heiwa Shuzo Co., Ltd. และแบรนด์ Tsuru-ume Yuzu เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ
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