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七田 純米吟醸 雄町50——2017年、パリで変わった日本酒評価の問い

七田 純米吟醸 雄町50——2017年、パリで変わった日本酒評価の問い

七田 純米吟醸 雄町50——2017年、パリで変わった日本酒評価の問い

2017年、パリで初めて開催された日本酒コンクール「Kura Master」の最高賞であるプレジデント賞の受賞酒が発表された。フランス人のトップソムリエたちによる審査の場で選ばれたのは、佐賀県小城市の天山酒造が造る「七田 純米吟醸 雄町50」だった。

受賞の決め手として挙げられたのが、フランス料理との親和性だった。この受賞は、日本酒の評価に「食事に負けない骨格」という基準が本格的に持ち込まれる一つの起点になったといわれる。華やかな吟醸香で勝負する大吟醸でも、なめらかな口当たりで知られる定番でもない。雄町米の野太い旨味と、肉料理の脂を切る酸を持つ一本が、初回の最高賞を手にした。

「酒米の始祖」が生む二面性

七田 雄町50の核心は、原料米にある。

岡山県産の雄町は、交配による品種改良を経ていない古い酒米として「酒米の始祖」と呼ばれる。山田錦や五百万石といった現代の交配種とは系譜が異なる。心白が大きく、米質が柔らかいため、[[麹|麹菌]]が米の内部まで入り込みやすく、旨味の素となるアミノ酸が豊かに生まれる。その旨味の厚みは、肉料理との相性を語るうえでの根拠の一つとされる。

同時に、雄町はボタニカルな個性を持つ。ミントや青竹を思わせる清涼感のある植物系の香りが、熟したパイナップルや完熟メロンの果実香と重なる。野性味と上品さが共存するこの二面性が、フランスのソムリエたちには「ガストロノミー」に見合う複雑性として映ったのだろう。

中硬水が加えるキレ

仕込水には、天山山系の伏流水を用いる。佐賀県小城市を流れる祇園川水系の水で、名水百選「清水の滝」にも連なる中硬水だ。

カルシウムやマグネシウムを含む中硬水は、発酵を支える要素の一つとされる。結果として、雄町の甘みと旨味を引き締める酸の印象が生まれる。脂のある料理に合わせたときに後口を整えるような特性は、この仕込水の個性と結びつけて語られることが多い。野太い旨味に対して、スパッと切れる後口。フランス料理のソースと渡り合える「骨格」の正体は、この組み合わせにある。

格付けより、伝えるもの

精米歩合50%は、法的に「純米大吟醸」を名乗れるスペックだ。にもかかわらず、七田 雄町50は「純米吟醸」として出荷される。

理由は、カテゴリーが与えるイメージにある。「大吟醸」という名は、繊細で香り高く、フルーティーな酒であるという期待値を呼ぶ。しかしこの酒の実像はそれとは異なる。雄町由来の野太い旨味と、食事に負けない骨格を持つ食中酒だ。香りよりも料理との対話を優先する。その哲学を、カテゴリーの名称そのものが体現している。

同様の戦略は、紀土 無量山でも確認される。精米歩合50%という純米大吟醸を名乗れるスペックでありながら、純米吟醸として出荷している。二つの蔵が共通して示しているのは、格付けとは別の言語で酒を設計するという、現代の蔵元の姿勢かもしれない。

水車業から始まった六代の系譜

その設計思想は、蔵の出自にもつながっている。

天山酒造の前身は1861年(文久元年)の製粉・製麺業にまで遡る。佐賀の豊かな水源を活かして近隣農家の米を精米し、小麦を製粉していた水車業者が、1875年(明治8年)に近隣酒蔵の廃業を機に酒造業へ転換した。

「製粉・精米のプロフェッショナル」としての出自は、現代においても原料処理(精米・洗米・浸漬)へのこだわりとして受け継がれている。「七田」ブランドが生まれたのは2001年。六代目の七田謙介氏が「現代の食生活に合う酒」をコンセプトに立ち上げ、無濾過・一回火入れという素材の個性をダイレクトに伝える製法を選んだ。水車業に由来する精米へのこだわりが、六代を経てガストロノミーとの対話に転換された。

2017年のプレジデント賞以降も、Kura Master 2018プラチナ賞、IWC(International Wine Challenge)2024純米吟醸部門ゴールドメダルと、受賞実績は積み重なっている。2017年にパリで投げかけられた問いへの答えは、その後の評価のなかで繰り返し確かめられている。


This article is intended solely to explore the brewing philosophy and cultural heritage of Tenzan Sake Brewery and the Shichida brand, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับปรัชญาการผลิตและมรดกทางวัฒนธรรมของ Tenzan Sake Brewery และแบรนด์ Shichida เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ

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