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同じトマト、正反対の酒——熊本と奈良、ふたつの蔵の回答


同じトマト、正反対の酒——熊本と奈良、ふたつの蔵の回答
甘さから、塩味と旨味へ
近年、バーの世界では、甘さを主役にしたカクテルから、塩味や旨味を軸にした「セイボリー」な一杯へという流れが見られる。その代表的な素材のひとつがトマトだ。トマトは、旨味成分のグルタミン酸を豊富に含み、野菜でありながら果実のような顔も持つ。
「トマトのお酒」と聞くと、ウォッカにトマトジュースを合わせるブラッディ・メアリーを思い浮かべる人が多いかもしれない。だが今、日本の二つの蔵が、ウォッカではなく和の酒をベースに、しかもまったく正反対の設計で、このテーマに回答を出している。
熊本からの回答は「未完成な土台」
一つ目の回答は、熊本から。明治11年(1878年)創業の蔵の系譜を継ぐ堤酒造の「KUMA TOMATO」である。ベースは、地理的表示(GI)として国際的に保護される球磨焼酎。堤酒造は、その造り手として認められた28蔵のひとつだ。そこに、日本有数のトマト産地である熊本のトマトを丸ごと粗漉しにして合わせ、塩とレモンをほのかに効かせた。アルコール度数は8%。
面白いのは、蔵元自身がこれを「完成品」として閉じていない点だ。塩、レモン、タバスコ。バーテンダーや注ぎ手が手を加えることを、蔵元自らが公認する設計になっている。甘さを抑え、塩味を効かせたこの酒は、食中の一本として、またカクテルの土台としてはたらくことを想定したものだ。いわば、あえて「未完成な土台」として世に出された酒である。
奈良からの回答は「完成された甘口」
もう一つの回答は、奈良から。明治26年(1893年)創業、「あらごし梅酒」など果実の食感を残す造りで知られる梅乃宿酒造の「甘くておいしいトマト」である。日本酒とスピリッツを合わせたベースに、720mlあたり約27個分の完熟トマトピューレを加える。原料には、安定した供給のため、南欧の日差しで育つポルトガル産の加工用完熟トマトを選んだ。香料・着色料・安定剤は使わず、アルコール度数は7%。
こちらはスムージーのようなとろみと強い甘みを持ち、その名の通り甘く飲みやすい、完成された設計だ。居酒屋のトマトサワーから着想されたこの一本は、日本では発売後の販売実績が当初計画の5倍にのぼったとされる。
並んで初めて、カテゴリーになる
同じトマトを使いながら、二本の設計は正反対の方向を向いている。塩味とレモンで食中酒やカクテルベースとして開かれたKUMA TOMATOと、完熟の甘みととろみで食後の甘口として完結する「甘くておいしいトマト」。同じ素材でも、冷製スープとコンポートほどに、担う役割が違う。
一方で、共通点もある。どちらも、明治創業の系譜を持つ蔵が、トマトという異例の素材に挑んだこと。そして土台に、ウォッカではなく和の酒を選んだことだ。KUMA TOMATOは球磨焼酎を、甘くておいしいトマトは日本酒とスピリッツを合わせたベースを選んでいる。「日本の酒とトマトの旨味」という発想は、二本が共有する物語である。
バンコクの飲食シーンにとっても、これは遠い話ではない。ナンプラーや発酵エビ味噌など、旨味の効いた調味料に親しんできたこの街の食文化に親しむ人々にとって、トマトの旨味を軸にした酒は、むしろ理解されやすい存在かもしれない。セイボリーなカクテルを掲げるバーが増えつつあるこの街で、和の酒をベースにしたトマトリキュールという選択肢は、静かに検討の対象になりはじめている。
新しいカテゴリーは、一本の酒からではなく、選択肢の幅から生まれる。未完成な土台と、完成された甘口。正反対の二本が並んだとき、「トマトのお酒」は一過性の珍しさではなく、選べるカテゴリーになる。セイボリーなカクテルへの潮流が続くなかで、この二本の対比は、トマトという素材の懐の深さを静かに示している。
This article is intended solely to explore the blending craftsmanship and cultural heritage of Tsutsumi Distillery’s KUMA TOMATO and Umenoyado Brewery’s tomato liqueur, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับศิลปะการผสมผสานและมรดกทางวัฒนธรรมของ KUMA TOMATO จาก Tsutsumi Distillery และลิเคียวมะเขือเทศจาก Umenoyado Brewery เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบบ
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