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「続く」と名づけられたジン

ニセコから世界のクラシックジン部門の頂点へ

2024年、日本のジンが世界三大酒類コンペティションで同時に最高評価を獲得した。World Gin AwardsのClassic Gin部門で「World’s Best」を受賞し、International Spirits Challengeでは単一銘柄にのみ与えられる「Trophy」を、San Francisco World Spirits CompetitionではDouble Goldを獲得した。コンテンポラリーでもフレーバードでもなく、「クラシック」部門で日本のジンが世界最高賞を獲ったのは、これが史上初である。その銘柄が、北海道ニセコ町で造られたNISEKO ohoro GIN STANDARDだった。

米を捨てた、という逆説

このジンを造っているのは、1922年創業、日本酒「八海山」で知られる八海醸造グループである。100年以上、米と水と麹で酒を造り続けてきた新潟の老舗が、2020年末にニセコの地に蒸溜所を構えた。ここまでは「日本酒の蔵がクラフトジンに参入する」という、近年ではめずらしくない文脈におさまる話かもしれない。

ohoro GINが静かに異質だったのは、ここからである。日本のクラフトジンの多くが米由来のライススピリッツや粕取り焼酎をベースにして「和の繊細さ」を打ち出すなか、八海醸造グループはあえて、ニュートラルな醸造アルコールをベースに採用した。100年にわたり米を扱ってきた蔵が、ジンのベースからはあえて米を外した。

理由は明快である。47%という高い度数でも、柑橘やボタニカルの精油を保持したまま、マティーニやネグローニのベースとして崩れない強靭なボディをつくる。和食のかたわらで寄り添う一本ではなく、ロンドンやニューヨークのバーカウンターで選ばれる一本を目指した結果の、静かな決断だった。

「続く」と名づけられた北の水

銘柄名の「ohoro」は、北海道の先住民族アイヌの言葉で「続く」を意味する。この地に恥じない酒造りを50年、100年と続けていくという宣言がこめられている。

仕込み水はニセコアンヌプリの伏流水、硬度およそ33の超軟水である。年間15メートルを超える雪が、長い年月をかけて火山灰の地層を通り抜け、ミネラルを控えめに含む柔らかな水として湧き出す。47%という高い度数にもかかわらず、海外の専門家から「驚くほど刺激が少ない」「クリーミーなフィニッシュ」と評されるそのテクスチャーは、この水によって形づくられている。

13種のうち、地元は2種だけ

ボタニカルは13種。そのうちニセコ産は、ヤチヤナギとニホンハッカの2種だけに絞られている。残りはジュニパーベリー、コリアンダー、アンジェリカルートといったロンドンドライジンの古典的な骨格をなす素材に、5種の柑橘を組み合わせている。ヤチヤナギは北半球の湿地に自生する植物で、ジンに使われる例は世界的にも稀な素材である。松のような樹脂感と、ハッカの透き通る清涼感が、古典的骨格のうえにアクセントとして乗る。

土地の素材を無数に投入して特異性を演出するのではなく、むしろ絞り込むこと。この引き算が、クラシックジンとしての普遍性を損なわずに、北海道のテロワールを静かに残すことを可能にしている。

「和」ではなく「クラシック」に立ったということ

日本のジンというカテゴリに目を向けたとき、国内外で最も広く知られている銘柄の一つがサントリーのROKUである。桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子という6種の日本産ボタニカルを中核に据え、ジンの骨格の上に「和の香り」を明確に重ねた設計である。「Japanese Craft Gin」という呼称が、その思想を簡潔に言い表している。六角柱のボトルの六面に、6種の和素材がそれぞれ刻まれているデザインまで含めて、「日本のジンを香りで主張する」という立ち位置が徹底されている。

NISEKO ohoro GINはこれとは異なる地点に立っている。和のボタニカルを前面に押し出すのではなく、ジュニパーベリー、コリアンダー、アンジェリカルートといったロンドンドライジンの古典的な骨格をそのまま残したうえに、ヤチヤナギとニホンハッカという北海道の素材を、アクセントとしてそっと添える。World Gin Awardsで最高賞を受賞したのも「Japanese Gin」部門ではなく「Classic Gin」部門である。この区分の選び方こそが、このジンの立ち位置を静かに物語っている。

日本産であることを香りで主張するのか、古典の文法のなかに土地を織り込むのか。どちらが正解という話ではない。クラフトジンという若いカテゴリのなかに、すでに複数の哲学が並び立ち始めていることを、この2本の対比は静かに示している。ohoro GINが選んだのは、和のアイデンティティを声高に語る道ではなく、ロンドンドライジンという世界共通の言語を話しながら、その語りのなかに北の森の気配をわずかに忍ばせる道だった。

バンコクのバーが、この一本を置く意味

Asia’s 50 Best Barsの常連店や、星付きファインダイニングのテーブルにとって、ohoro GINは複数の意味を帯びる。一つはマティーニやネグローニという古典カクテルの、骨格を崩さないベースとしての信頼性。もう一つは、バックバーに置かれたときに語れる物語。100年の酒蔵が米を外した理由、アイヌ語で「続く」を意味する名、ニセコの雪と森、そして2024年の世界三冠である。

熱帯のバンコクにあって、北の森の樹脂感と清涼感をまとったこの一本は、興味深い対比をなしている。「ohoro」の物語は、自然と手仕事の深いつながりに目を向ける人に、北海道の澄んだ冬の気配をそっと伝えている。


This article is intended solely to explore the distillation philosophy and cultural heritage of Niseko Distillery (a member of the Hakkaisan Brewing Group, the producer of NISEKO ohoro GIN STANDARD) and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับปรัชญาการกลั่นและมรดกทางวัฒนธรรมของโรงกลั่น Niseko Distillery (ในเครือ Hakkaisan Brewing Group ผู้ผลิต NISEKO ohoro GIN STANDARD) เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ


“米を、あえて使わなかった”


ジン・メリドール / ohoro GIN スタンダード

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