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米を、あえて使わなかった
八海醸造「NISEKO ohoro GIN」、受賞から見える設計思想

日本酒「八海山」で知られる、新潟の名門酒蔵・八海醸造。1922年の創業から100年以上、米と向き合い続けてきたこの蔵が、北海道ニセコでジンを造ったとき、ひとつの大胆な決断をした。「米を使わない」。
受賞が裏づけた、その決断
その決断は、国際的な審査会で評価された。
2026年、TWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)の洋酒部門で、「NISEKO ohoro GIN(オホロジン)スタンダード」は金賞を受賞した。これに先立ち、ジンの国際審査会World Gin Awardsでは「World’s Best Classic Gin」の称号を受けている。これは、日本のジンとして初めての受賞だった。
注目すべきは、受賞した部門だ。香りの個性で競う「コンテンポラリー」ではなく、マティーニやネグローニといった古典的なカクテルの土台となるジンが評価される「クラシック」部門。つまり、ロンドンで磨かれてきた正統派のジンと同じ土俵で、評価を得た、という点である。
なぜ、米を使わなかったのか
日本のクラフトジンの多くは、米から造ったスピリッツや酒粕の焼酎をベースに使い、「和の繊細さ」を打ち出す。日本酒の名門である八海醸造なら、なおさらその道を選ぶこともできただろう。
しかし、ニセコ蒸溜所が選んだのは、癖のないニュートラルな醸造アルコールだった。理由は明快である。彼らが目指したのは「和風のお土産」ではなく、世界のバーで通用する本物のクラシックジン。そのためには、ボタニカル、つまり香りづけに使う植物をしっかり支える、力強い土台が必要になる。アルコール度数47%というリッチな骨格は、繊細な香りを最後まで逃さない。100年以上、米を極めてきた蔵だからこそ下せた、引き算の決断だった。
雪が磨いた水と、北の森のボタニカル
ニセコは、年に15メートルもの雪が降り積もる、世界有数の豪雪地帯だ。その雪が長い時間をかけて火山灰の地層を通り抜け、硬度およそ33という、きわめて柔らかな水となって湧き出す。47%という高い度数でありながら口当たりが驚くほど滑らかなのは、この水によるところが大きい。
ボタニカルは13種類。その骨格はジュニパーやコリアンダーといった伝統的な素材で組み、北海道産の素材は、あえて2種類に絞った。湿原に育つ「ヤチヤナギ」と、清涼感のある「ニホンハッカ」である。地元の素材を盛り込みすぎず、必要なものだけを加える。ここにも、引き算の美学がある。
「続く」という名の祈り
ブランド名の「ohoro」は、北海道の先住民族であるアイヌの言葉で「続く」を意味する。この地で生まれた酒が、世代を超えて愛され続けるように。100年以上の歴史を持つ蔵を率いる者の、静かな祈りが込められている。
米を手放すという逆説を経て生まれた一本は、いま、海を越えて新しい土地の物語へと続いていく。北の森の素材と、引き算の製法思想を映したこのジンは、バンコクで日本のクラフトスピリッツの現在地を伝える一本として、静かに記憶されていくだろう。
This article is intended solely to explore the distillation philosophy and cultural heritage of Niseko Distillery (a member of the Hakkaisan group, the producer of NISEKO ohoro GIN) and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับปรัชญาการกลั่นและมรดกทางวัฒนธรรมของโรงกลั่น Niseko Distillery (ในเครือ Hakkaisan ผู้ผลิต NISEKO ohoro GIN) เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ
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