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梅酒に十年という時間を重ねる

古鶴梅が問い直す「熟成」という発想

梅酒は、仕込んでから比較的早く飲まれてきた酒である。青梅を糖と酒に沈め、数か月から長くても数年で飲まれる。多くの梅酒は、そうして食卓に届く。果実のみずみずしさと甘さが身上であり、長く置くという発想は、もともと主流ではなかった。

ところが、十年を樽の中で過ごす梅酒がある。和歌山・平和酒造の「古鶴梅」だ。なぜ、果実の酒にそれほどの時間をかけるのか。その問いの先に、梅酒という言葉の輪郭を引き直す試みが見えてくる。

十年が、果実の酒に何をするか

古鶴梅は、紀州・和歌山産の完熟南高梅で仕込んだ梅酒原酒を、十年かけて熟成させる。

時間は、酒を静かに作り替える。仕込みたての梅酒にある若い甘さや角のある味わいは、年月のなかで少しずつ落ち着く。樽内でのゆるやかな変化を経て、とがった輪郭は少しずつ丸みを帯びていく。果実の風味は凝縮したように感じられ、当初はなかった複雑さが層になって現れる。十年という歳月は、足し算ではなく、引き算のように酒の像を変えていく。

これは、ワインやウイスキーの世界では長く知られてきた考え方だ。だが梅酒において、十年という単位を正面から引き受ける例は多くない。

樽の時間を借りる、という発想

古鶴梅のもう一つの特徴は、樽にある。

長期熟成させた梅酒原酒を、複数の木樽(ウイスキー樽・シェリー樽・バーボン樽を含む)でさらに寝かせ、ブレンドする。最後は加水せず、原酒のまま瓶詰めする。これは、ウイスキーやシェリー酒の熟成哲学を、梅酒に持ち込んだ設計だといえる。

木樽は、ただ酒を貯蔵する容器ではない。樽由来の成分や樽熟成によるニュアンスは、ヴァニラ、カラメル、オークを思わせる香りとして現れることがある。複数の樽を使い分け、最後に調和させるブレンドの工程は、単一の樽だけでは出しにくい奥行きを生む。結果として古鶴梅の香味は、熟した梅やドライフルーツに始まり、ヴァニラ・カラメル・オーク・ハーゼルナッツ、そして長く続く酸の余韻へと連なる。深みのある琥珀色は、その十年と樽の時間を、色そのもので物語っている。

「甘い梅酒」という枠の外へ

この設計が意味するのは、梅酒の語り口の更新である。

甘さや飲みやすさで語られてきた梅酒が、ドライフルーツ・ヴァニラ・オーク・酸の余韻という、ウイスキーやワインのテイスティング言語で記述できる酒になる。古鶴梅は、フランスで開かれるKura Master梅酒コンクールで2024年に金賞、2025年にプラチナ賞を受賞している。トップソムリエやミシュラン星付き店の関係者が、ペアリングを前提に審査する大会だ。連続受賞かつランクの昇格という事実は、この香味構造が国際的なプロの評価軸でも通用することを示している。

なお造り手の平和酒造は、International Wine Challenge(IWC)のSAKE部門で2019年・2020年に「Sake Brewer of the Year」を連覇した蔵でもある。この評価は蔵元に対するものだが、十年を引き受ける仕事を支える技術の厚みを、間接的に裏づけている。

バンコクへの接続

バンコクの飲食シーンでは、ウイスキーやワインの語彙を共有できる提供者が増えている。古鶴梅が興味深いのは、「梅酒」という枠を一度外し、「日本産の熟成リキュール」として位置づけられる点にある。古鶴梅には、複数樽での熟成、ブレンド、原酒での瓶詰めという工程がある。これらは、ウイスキーに親しんだ提供者にとって、比較的理解しやすい概念だ。

時間そのものを素材として扱う、という発想がある。仕込んで早く出すのではなく、十年という時間と樽に預けて像を変える。古鶴梅という一本は、梅酒に何ができるのかという問いを、いまも静かに開いている。


This article is intended solely to explore the blending craftsmanship and cultural heritage of Heiwa Shuzo Co., Ltd. and the Ko-Tsuru-Ume brand, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับศิลปะการผสมผสานและมรดกทางวัฒนธรรมของ Heiwa Shuzo Co., Ltd. และแบรนด์ Ko-Tsuru-Ume เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ


“平和な時代に、酒を造る|平和酒造の「古鶴梅」が十年の熟成で書き換えた梅酒の語り口”


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