
芋なのに、ぶどうの香り——最高金賞が裏づけた「スウィートポテト ロビン」の設計
芋焼酎から、ぶどうの香りを思い浮かべる人は少ない。だが2026年5月に発表された東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)2026で、その意外性を武器に最高金賞を受賞した一本がある。「Sweet Potato Robbin(スウィートポテト ロビン)」。芋を原料にしながら、香りとして語られるのは巨峰やラムレーズンだ。
芋が、ぶどうに近づく理由
この香りは偶然ではなく、三つの逆張りが重なった結果である。
まず、芋そのもの。焼酎に広く使われる黄金千貫ではなく、あえて食用の紅はるかを選ぶ。紅はるかは食べると甘い品種の代表格だが、その分デンプンが少なく、焼酎にすると収率が一割五分ほど下がるとされる。量を捨てて、香りを取る。その判断が出発点にある。
次に、下処理。芋の香りは皮に宿る。多くの蔵が雑味を避けて皮を落とすのに対し、この蔵は皮を傷つけないように洗い、その個性をあえて残す。
そして、蒸留器。宇都酒造は蒸留器の一部に錫(すず)のパイプを用いる。芋焼酎の蔵では珍しい選択で、錫製のパイプを通すと口当たりがやわらぎ、後味に香ばしさが出るという。
甘い芋を選び、皮を残し、錫を通す。三つの選択が積み重なった先に、「芋くさい」という先入観からは遠い、果実のような輪郭が浮かび上がる。
玉手箱に乗った鳥
「Robbin」を醸すのは、鹿児島県南さつま市の宇都酒造。明治期の創業から百二十年を超える蔵で、この地は黒瀬杜氏・阿多杜氏という焼酎づくりの職人集団を生んだ土地でもある。杜氏を務める宇都尋智氏は、東京農業大学で応用微生物学を学び、黒瀬杜氏の神渡勇治氏から技を受け継いだ。
商品を企画したのは、東京・杉並区の和酒専門商社、南山物産だ。九州の蔵元と組んで輸出向けブランド「SHOCHU REPUBLIC」を立ち上げ、同ブランドの芋焼酎の柱に「Robbin」を据えた。ラベルに描かれるのは、玉手箱に乗り、芋を抱えた一羽の鳥。奄美大島の絶滅危惧種、アカヒゲである。蔵のある薩摩半島は、浦島太郎伝説とのゆかりが語られる土地でもある。海の向こうから戻る昔話と、はじめから海を越えることを見据えて設計された酒。ラベルの意匠は、「Robbin」という銘柄の背景と静かに響き合う。
賞が裏づけたもの
TWSC 2026の焼酎・泡盛部門で最高金賞を受賞したのは、応募189点のうち23点。登場して間もない「Robbin」は、その一角に名を連ねた。
意味があるのは、評価されたのが、見た目や話題性ではなく中身だった点だ。芋なのにぶどうの香り、という意外性は、奇をてらった演出ではなく、原料と製法の積み重ねから生まれている。その設計が国内の本格的な品評会で通用することを、賞が示した。
ウイスキーやワインの言葉で酒を選ぶ人にとって、焼酎は長く、共通の物差しを欠いた存在だった。ぶどうを思わせる香りは、その物差しの一つになる。最高金賞は、「Robbin」の設計がその役割を果たせることを、確かな形で裏づけた。
This article is intended solely to explore the design and distillation techniques and cultural heritage of Uto Shuzo’s “Sweet Potato Robbin,” as reflected in the TWSC 2026 award record, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับการออกแบบ เทคนิคการกลั่น และมรดกทางวัฒนธรรมของ “Sweet Potato Robbin” จาก Uto Shuzo ที่สะท้อนในผลรางวัล TWSC 2026 เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ
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