
ワイン関税0%から2年——バンコクから見る、タイのワイン事情
タイのワイン輸入は、2025年も伸びた。業界メディア『Vino Joy News』の集計によれば、輸入量は約4,040万リットルで、前年比8.6%増となり、2年連続で伸びた。国際ブドウ・ワイン機構(OIV)の統計では、世界のワイン消費量は2018年比で14%減り、生産量も3年続けて低い水準にとどまっている。世界全体の動向と比べると、タイでこの2年続いた伸びには、別の説明が要る。
2年前の税制改革
出発点として大きいのは、2024年2月23日に施行された税制改革である。タイ政府はワインの輸入関税を従来の54〜60%から0%に引き下げ、あわせて物品税も引き下げた。この関税撤廃措置は、特定の国との協定に基づくものではなく、原産国を問わず適用される。フランスもチリもオーストラリアも、等しく関税ゼロの条件で入ってくるようになった。この措置は2026年7月現在も続いている。なお対象はあくまでワインであり、日本酒や焼酎など、他の酒類に対する税制は別の枠組みのままである。
タイ政府が掲げた狙いは、コロナ禍から回復する観光を、食の分野から下支えすることだった。輸入の伸びを税制だけで説明することはできないが、大きな要因のひとつと見られている。国全体の酒類市場がほぼ横ばいで推移するなか、ワイン市場だけが相対的に伸びているのである。
何が伸びているのか
調査会社IWSRのデータによれば、2024年には、スティルワイン(非発泡のワイン)とスパークリングワインがともに、数量ベースで3%伸びた。中期の見通しでは、スパークリングワインが年平均1%であるのに対し、スティルワインは3%前後の成長が見込まれており、伸びの主軸はスティルワインにある。産地別では、イタリアが前年比9%増、ニュージーランドが7%増と先行し、オーストラリアの3%増、チリの1%増がそれに続く。関税ゼロで各国が同じ土俵に立ったあと、先行したのは、この両産地だった。
色でいえば、タイの市場はいまも赤が主役である。GlobalDataの調査によれば、2023年時点では、スティルワインの約87%を赤ワインが占めていた。ただし、周縁には新しい動きがある。IWSRのデータでは、シェアが2%ほどにとどまるロゼは、市場規模こそ小さいものの、2019〜2024年の5年間に年平均15%で成長し、最も速い伸びを示した。オーガニックやナチュラルワインは、タイ単独の市場統計こそまだ存在しないものの、バンコクでは自然派を軸にする店が相次いで生まれ、2026年には現地メディアが「もはやニッチではない」と特集を組むまでになった。
誰が、どこで飲んでいるのか
もっとも、この伸びを支えているのは観光客だけではない。IWSRの分析によれば、タイのワイン需要を押し上げているのは都市部の専門職層、とりわけその中の女性である。主要な販売・消費チャネルは、レストランやワインバーといった飲食店での提供、すなわちオントレードで、バンコクでは毎年、内外のワイナリーや輸入元が集まるワインフェスティバルも開かれている。
国際的な評価にも、変化の一端が表れている。ワインリストを対象にした国際アワード「Star Wine List of the Year」の東南アジア部門では、2026年のファイナリストにバンコクのワインバーやレストランが複数選ばれた。その中には、自然派の品ぞろえで知られる店も含まれている。
北緯12度から18度の畑
この市場には、輸入のほかにもう一つの層がある。国内の産地だ。カオヤイの山麓にはGranMonteやPB Valleyのブドウ畑があり、ホアヒン近郊にはSiam Wineryが運営する「Monsoon Valley」のブドウ畑がある。いずれも北緯12〜18度の間に位置する。伝統的にワイン用ブドウ栽培の適地とされてきた北緯30〜50度帯の、はるか外側である。こうした従来の適地の外で造られるワインは、「ニュー・ラティテュード・ワイン」と呼ばれる。タイの主要なワイナリーでは、雨季を避け、乾季の1月末から3月にかけて年に一度の収穫を行う。
世界のワイン市場の縮小は、ワインの退潮の物語として語られがちだ。だがタイの2年間は、条件が変われば市場はまだ動くという実例になった。次に見るべきは輸入量の伸び率ではなく、バンコクの店のワインリストと、乾季に収穫されたブドウから造られる国内ワインが、これからどのような評価を受けていくかである。
This article is intended solely to explore wine industry trends and the cultural landscape of wine in Thailand, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับแนวโน้มอุตสาหกรรมไวน์และภูมิทัศน์ทางวัฒนธรรมของไวน์ในประเทศไทยเท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ
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