Bacchus
LINE

Blog

27から140超へ──ジャパニーズウイスキーの「第二世代」が、日本各地で静かに樽を満たし始めている

27から140超へ──ジャパニーズウイスキーの「第二世代」が、日本各地で静かに樽を満たし始めている

2021年、日本洋酒酒造組合(JSLMA)がジャパニーズウイスキーの自主基準を公表したとき、国内で稼働していた蒸留所はおよそ27カ所だった。それからわずか5年。2026年の現在、日本国内のウイスキー蒸留所は140を超えている。5年で5倍以上という増加ペースは、世界的に見ても異例だ。だが、この数字が示しているのは「バブル」ではない。日本の各地で、それぞれの土地の風土と造り手の哲学を樽に詰め込もうとする、静かな地殻変動である。

2021年の自主基準が描いた、新しい地図

2021年に施行された自主基準は、ジャパニーズウイスキーの定義を初めて明文化した。日本の水を使い、日本国内で糖化・発酵・蒸留を行い、木樽で3年以上熟成すること。一見、参入障壁を高めたように見えるこの基準は、しかし逆の作用をもたらした。どの条件を満たせばジャパニーズウイスキーと名乗れるのかが明示されたことで、新規参入者にとっての「地図」になったのである。異業種からの参入が一気に加速した背景には、この明確な輪郭がある。

日本酒蔵から、鋳物の町から、電機メーカーから

第二世代の蒸留所には、ウイスキーとは無縁の業種から参入したケースが少なくない。新潟・南魚沼の日本酒蔵、八海醸造が新潟と北海道の2カ所で進めるウイスキー造りは、その象徴的な例である。1922年創業の清酒「八海山」の蔵は、2005年に深沢原蒸溜所を新設し、米焼酎と並走するかたちで米グレーンウイスキーの仕込みも始めた。さらに2021年には、北海道ニセコ町に「ニセコ蒸溜所」を開設し、稼働させた。新潟側では、魚沼ウイスキーに、霊峰・八海山の伏流水「雷電様の清水」と、日本酒造りで磨いてきた発酵・蒸留の技術を、米由来のグレーン原酒として映し込もうとしている。北海道側のニセコ蒸溜所は、羊蹄山系の超軟水と冷涼な気候のなかで、スコットランド・フォーサイス社製のポットスチルを据え、シングルモルトの仕込みを静かに進めている。両拠点の単一銘柄は、まだ市場に大きく姿を現していない。樽の中の原酒は、世界に名乗りを上げる前の沈黙の時間にある。それでも、日本酒蔵が米と水に向き合ってきた100年あまりの延長線上に、ウイスキーという新しい樽の時間を置こうとしている事実そのものが、第二世代の物語の輪郭をくっきりと示している。

富山県の三郎丸蒸留所は、1952年から続くウイスキー造りを、2017年に再出発させた稀有な蒸留所である。鋳物の町・高岡の技術を活かした鋳造製のポットスチル「ZEMON」は世界でも類を見ない、地場産業との接続から生まれた一台だ。さらに異色なのが、吉田電材蒸留所である。電気機器メーカーが手がける、日本初のクラフトグレーンウイスキー専業蒸留所で、北海道産のトウモロコシを100%使用した「スモールバッチ・グレーン」に特化している。ブレンデッドウイスキーの土台になるグレーン領域に絞るという判断は、スコットランドの産業構造を読み込んだうえでの戦略である。

秩父が証明した、10年の価値

この波の起点には、秩父蒸留所の存在がある。肥土伊知郎氏が2007年に埼玉県秩父市に建てた小さな蒸留所は、わずか数百リットルの仕込みから始まった。2026年の現在、10年熟成のシングルモルトがリリースされるたびに、世界中のコレクターが争奪戦を繰り広げる蒸留所へと育っている。秩父が証明したのは、大手の設備投資に頼らなくても、土地の気候と造り手の個性があれば、世界に通用するウイスキーは造れるという事実だった。東京から北西へ100kmほど離れた秩父盆地は、夏と冬の寒暖差が激しく、その温度変動がスコットランドよりも速く熟成の進行を促す。弱点になりかねない環境を、個性へと転換したのである。

この成功体験が、後続の造り手たちに「自分たちの土地でも造れる」という確信を静かに広げた。長野県小諸市の小諸蒸留所は2026年末のボトル販売開始を予定しており、標高800メートルの高冷地が原酒にどのような個性を刻むのか、業界の注目を集めている。

樽の中の時間は、止まらない

140を超える蒸留所のうち、自社の熟成原酒をボトリングできる段階に到達しているのは、まだ一部に過ぎない。多くの蒸留所では、仕込んだ原酒が樽の中で静かに眠っている。2026年現在、私たちが見ているのは「始まり」であって、「完成」ではない。ウイスキーは、造った瞬間には完成しない酒である。樽の中で3年、5年、10年と時間をかけて初めて、その土地と造り手の意図が液体として立ち上がってくる。

2026年3月、東京・恵比寿で開かれた「ジャパニーズクラフトウイスキーフェスタ2026」には、ウイスキーマニアだけでなく、日本酒や焼酎の愛好家、バーテンダー、飲食店オーナーが多数来場した。第二世代のジャパニーズウイスキーは、既存のウイスキーファン以外の層にも広がり、日本の酒文化全体のなかで静かに接続し始めている。

海外のバーのカウンターでひと杯のジャパニーズウイスキーが供されるとき、グラスの向こう側には、魚沼の伏流水とニセコの冷涼な空気と、高岡の鋳物の鼓動と、秩父盆地の寒暖差と、まだ名の知られていない100を超える土地と造り手の哲学が、それぞれの樽の時間とともに、同じ重みで息づいている。27から140超へ。この数字の裏側には、140を超える蒸留所と、それぞれの土地に根ざした哲学がある。


This article is intended solely to explore the distillation techniques and cultural heritage of the second-generation Japanese craft whisky distilleries, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับเทคนิคการกลั่นและมรดกทางวัฒนธรรมของโรงกลั่นวิสกี้คราฟต์ญี่ปุ่นรุ่นที่สองเท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ

Discover the culture behind every bottle

We share brewery stories, tasting notes and the craft of koji & fermentation | for educational and cultural purposes only.

เราถ่ายทอดเรื่องราวจากผู้ผลิต บันทึกรสชาติ และศาสตร์แห่งโคจิและการหมัก | เพื่อการศึกษาและวัฒนธรรมเท่านั้น

Follow on Instagram Facebook

“The Quiet Dedication Behind Ichiro’s Malt Double Distilleries” / “Preserving 400 Casks” / “Three meters underground in the tropics” / “Defining “Authentic Japanese Whisky”” / “Three Hurdles a Bottle of Whisky Must Clear Before It Reaches Bangkok”

Age Verification

This website contains information about alcoholic beverages and is intended for audiences aged 20 and above. Please confirm your age to continue.