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ノンアルコールペアリングを、ひとつのコースとして考える

タイの仕事着を着た二人が、茶葉や花、香草、枝豆などの飲料素材を整える架空のタイの厨房を描いた浮世絵風イラスト。

料理のコースには、前菜からデザートまでの順序がある。ノンアルコール飲料にも、それぞれの料理に合わせた順序を設けたらどうなるだろう。一つ一つの飲料の味に加え、食事全体を通じた組み合わせを考えることになる。

ミシュランガイドタイランド2026の発表に伴う公式記事は、2025年11月27日付で公開された。そこでは、ハーブや花を使ったノンアルコールの選択肢が、ワインと並んで人気を高めていると紹介されている。この報告を手がかりに、バンコクの飲食店で飲料をコースとして組み立てる仕事を考えたい。

公開メニューに見える、素材の広がり

具体的な構成は、公開メニューからも読み取れる。バンコクのあるレストランが公開している2025年夏向けのメニューには、ノンアルコールペアリングとして七つの飲料名と、それぞれの材料が並んでいる。

ジャスミン茶、枝豆、山椒を合わせたもの。甘酒、カモミール、サフランを組み合わせたもの。茶や花に加えて、豆や穀物由来の素材も使われている。飲料ごとに異なる材料の組み合わせが記されている点が興味深い。

甘酒の使用には、日本の素材との接点も見て取れる。ただし、この一覧だけでは配合比率や甘酒の製法、各飲料のアルコール分までは分からない。記載された材料から、味の強さや完成した飲料の性質を決めつけないことも大切だ。

この事例からは、複数の飲料をペアリングとして提示する構成が読み取れる。開始時期や業界全体への普及率を示す資料ではないが、飲料を個別に組み立てる仕事を知る具体的な手がかりになる。

甘酒の製法を応用した飲料の一例が、Bacchus Globalが取り扱う「KOJI CLEAR(コージクリア)」だ。米麹、米、水から造る透明なノンアルコール飲料で、造り手は甘味と果実を思わせる酸味を特徴としている。その甘味や酸味をコースのどこに添えるかも、飲料を組み立てる際の検討材料になる。なお、上記の公開メニューで使われた銘柄を示すものではない。

一つの飲料から、食事全体の順序へ

ここからは、飲料コースを組み立てる際の視点を考えたい。一つの料理との相性を確かめることに加え、前後の飲料との関係にも目を向ける。最初から最後まで似た甘味や香りが続けば、材料を替えても変化が伝わりにくいかもしれない。

たとえば、香りが長く残る飲料のあとに、香りの穏やかな料理が続く場合。その余韻が次の料理にどう重なるかまで考えると、飲料の選び方は変わってくる。料理と飲料を一組ずつ並べたうえで、コース全体を通して確かめる作業だ。

量と提供のタイミングも、その組み合わせに関わる。一皿のために用意した飲料が多く残れば、次の料理が届いたときも前の飲料が卓上にある。料理の品数と飲料の数を必ず一致させる必要はないが、どの料理からどの料理までを受け持つかは、決めておきたい。

一皿ごとに替えるのか、複数の料理に一つの飲料を添えるのか。飲料の量や温度を含めて考えることで、メニューに並んだ品目が、実際の食事の進行と結び付く。

仕入れと接客を、同じコースにつなぐ

飲料の仕入れを担当する人にとっては、商品単体の特徴に加え、料理のコースのどこに組み込むかが比較の軸になる。前菜に添える候補なのか、主菜のソースに合わせるのか。使う場面を料理人やサービス担当者と共有すれば、香りの強さや甘味、口当たりを、共通の目的に沿って検討できる。

接客時の説明にも、その目的を引き継ぎたい。材料名を伝えるだけでなく、なぜこの料理に添えるのかを短く説明する。料理と飲料の関係が分かれば、飲酒をしないゲストも、組み合わせの意図をたどりながら食事を進められる。

なお、ミシュランの星が評価するのは料理の質であり、今回の動向紹介は新たな審査基準の発表ではない。特定の店の事例を参考にしながら、自店の料理や提供の進め方に合う構成を考えることが肝心だ。

七つの飲料名が並ぶメニューからは、素材を選び、組み合わせを考える仕事が見える。その先には、順序と量、提供のタイミングを料理に合わせる仕事がある。ノンアルコールペアリングを一つのコースにするのは、そうした判断の積み重ねなのだろう。


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