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日本酒の「古酒」に、酒税法上の定義はない――泡盛の「古酒」との違い

ラベルに「古酒」と書かれた日本酒がある。何年か寝かせた酒だろう、と見当はつく。では何年からが古酒なのか。

酒税法に、それを決めた条文はない。

国税庁が「清酒の製法品質表示基準」という告示を出している。告示とは、国の役所が定めて公表する決まりのことである。純米酒、吟醸酒、本醸造酒といった呼び名の要件は、ここで決められている。

だがこの告示の本文に、「古酒」という語は一度も出てこない。「長期貯蔵酒」も出てこない。

酒税法にも、この表示基準にも、古酒の定義はない。ラベルに「古酒」と書くかどうかは、蔵元の判断に委ねられている。

では、満三年という数字は何なのか

古酒について調べると、満三年という年数によく行き当たる。

これは長期熟成酒研究会という団体が決めた基準である。1985年に長期貯蔵酒研究会として発足し、全国の蔵元が参加している。同会は熟成古酒を、次のように定めている。糖類を加えていない清酒を、上槽から満三年以上、蔵元で貯蔵熟成させたもの。上槽とは、発酵を終えた醪(もろみ)を搾り、酒と酒粕に分ける工程を指す。

つまり業界団体の自主基準であって、法令ではない。加盟していない蔵元が、この年数に従う義務はない。

一方、先の告示にも年数に関する規定はある。ただしそれは「何年から古酒か」ではない。貯蔵年数を表示する場合、年数の異なる酒を混ぜたら、いちばん短い年数で書かなければならない、という規定である。呼び名の線引きではなく、数字を書くときの正確さを求めている。

泡盛の古酒は、規約で決まっている

同じ「古酒」という言葉を使う酒が、沖縄にある。

泡盛の古酒(クース)である。こちらには基準がある。沖縄県酒造組合の「泡盛の表示に関する公正競争規約」に定められている。業界がつくり、公正取引委員会の認可を受けた表示のルールである。「古酒」と表示できるのは、全量が三年以上貯蔵されたものに限られる。

この規約は2013年に改正され、2015年8月1日から施行された。それ以前は、三年以上熟成した酒が半分を超えていれば古酒と表示できた。改正で「全量」に引き上げられている。

日本酒と泡盛は、同じ二文字を使っている。だが片方は蔵元の任意表示であり、もう片方は認可を受けた規約にもとづく表示である。

中身のほうは、はっきりしている

言葉の定義は緩い。一方で、熟成のあいだに何が起きるかは、かなり細かく測られている。

酒類総合研究所が、貯蔵年数と成分の関係を報告している。まず色である。色の濃さを数値で表した着色度という指標があり、これと貯蔵年数の関係が調べられた。

こうした関係の強さは、相関係数という数値で表される。マイナス1からプラス1までの範囲をとり、プラス1に近いほど、二つが同じ方向に変化する傾向が強い。着色度と貯蔵年数の相関係数は、プラス0.97だった。ただしこの数値は傾向の強さを示すものであって、年数から個々の酒の色を言い当てられるという意味ではない。

色が濃くなる主な原因は、メイラード反応にある。糖とアミノ酸が、酵素の働きによらずに反応し、褐色の物質や香りの成分を生む一連の変化のことである。

香りのほうは逆に動く。吟醸酒に多いフルーティーな香りの成分は、年数とともに減っていく。カプロン酸エチルと酢酸イソアミルが、その代表である。

酸の変化は単純ではない。クエン酸やリンゴ酸といった果実的な酸は減る。だが酢酸などは増える。酸味が消えるのではなく、酸の種類ごとに増減が異なる。

なお、ここまで挙げた変化は、いずれも貯蔵中に進む化学反応である。麹の酵素が米のデンプンを糖に変える糖化とも、酵母が糖をアルコールに変える発酵とも別の変化だといえる。造りが終わったあと、時間の経過と貯蔵の条件のもとで進んでいく。

「シェリーのようだ」には根拠がある

熟成した日本酒を説明するとき、シェリーや老酒(ラオチュウ)が引き合いに出されることが多い。どちらも長く寝かせた酒である。

これは印象だけの比喩ではない。ソトロンという香りの成分がある。酒類総合研究所の報告では、この成分の濃さによって、感じられる香りが変わるとされる。濃度の単位であるppbは十億分率で、ごく微量を表す。2ppb以下では清酒らしい香りとなり、3から6ppbではシェリーに似た香りになる。7ppb以上になると、熟成した清酒に現れる老香(ひねか)として感じられるようになる。

ソトロンは、シェリーの特徴的な香りとしても知られている。異なる酒が似て感じられるとき、同じ分子がそこにあることがある。

二文字から、どこまで読めるか

蔵元ごとに年数が違うのは、定義がないからではない。仮に法的な下限があったとしても、それを超えて寝かせるのは自由だからである。実際に、三年で出す蔵もあれば、二十年寝かせる蔵もある。

違いは別のところにある。同じ「古酒」という表示から、その中身をどこまで読み取れるか、という点だ。

泡盛では、認可を受けた規約がこの二文字の基準を定めている。全量が三年以上貯蔵されていることが、この表示の条件である。

日本酒の古酒には、泡盛のような一律の規約がない。そのため二文字だけでは、貯蔵年数までは分からない。年数や貯蔵の条件がラベルや蔵元の説明に示されていれば、そちらを個別に確かめることになる。

同じ二文字である。だが泡盛では、そこから最低限の年数が読み取れる。日本酒では、読み取れない。


This article examines the labelling standards and chemistry of aged Japanese sake and Okinawan awamori, for informational purposes only, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อพิจารณามาตรฐานการแสดงฉลากและองค์ประกอบทางเคมีของสาเกบ่มและอาวาโมริบ่มของโอกินาวา เพื่อเป็นข้อมูลความรู้เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ


“搾るはずのない段階で、搾った——『現外』というヴィンテージ日本酒の30年” / “「泡盛の菌」から「琉球の菌」へ――黒麹菌の名前と泡盛蔵の新しい挑戦” / “タイの大地から沖縄へ、そしてバンコクへ ── 今帰仁酒造「千年の響」が語る泡盛の循環”

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