Perspectives
IWC 2026の結果をどう説明するか——大会の事実、主催者の分析、店の記録を分ける

International Wine Challenge(IWC)は、ワインや日本酒を専門家が審査する大会である。2026年5月21日、IWCはその年の日本酒部門を振り返る記事を発表した。
記事には「バランス」「テクスチャー」「アイデンティティ」という三つの言葉が出てくる。簡単に言えば、「味のまとまり」「口当たり」「その土地らしさ」である。
では、IWCはこの三つに点数を付けたのだろうか。公開されている審査方法や出品案内を見るかぎり、三つは採点表の項目として示されていない。IWCが2026年の結果を振り返り、評価された日本酒に見られた特徴をまとめた言葉である。
大会の結果を店の資料にまとめるときは、この違いを分けて書く必要がある。
まず、大会で決まったことを書く
IWCでは、銘柄名や生産者名を審査員に伏せて、日本酒を審査する。これをブラインド審査という。名前や知名度に左右されないようにする方法である。
「IWC 2026金賞」や「地域トロフィー」は、大会で決まった事実である。店の資料には、受賞した年、部門、賞の名前、情報の出どころ、確認した日を書く。
金賞とトロフィーは同じ賞ではない。最終日には、金賞を受けた酒の中から、各部門のトロフィー受賞酒を決める。トロフィー受賞酒を一つに絞れないときは、候補の酒をもう一度審査し、そのうち一つがトロフィー受賞酒に選ばれる。選ばれなかった候補のうち、トロフィー受賞酒とは別の産地から出品され、次に高く評価された酒には、地域トロフィーが与えられる。
ただし、メダルだけでは、その酒の原料や造り方まで分からない。メダルは説明の始まりであって、その酒のすべてを表すものではない。
次に、主催者が見つけた全体の傾向を書く
IWCの2026年の記事では、米の外側を多く削って造る純米大吟醸が、出品数の約3分の1を占めたと説明している。金賞受賞数も、この部門が最も多かった。
その一方で、長く熟成させた酒、口当たりに特徴がある酒、料理との相性が評価された酒、その土地らしさを感じさせる酒にも注目している。IWCはこうした結果をまとめる言葉として、「味のまとまり」「口当たり」「その土地らしさ」を挙げた。
ここで気を付けたい。これは大会全体を見た分析である。「ある銘柄が土地らしさを理由に受賞した」という意味ではない。個々の銘柄の受賞理由を説明するには、その銘柄についてIWCが発表したコメントなどを別に確かめる必要がある。
店の資料では、「IWCによる2026年の結果分析では」と書き始める。これだけでも、大会の事実と主催者の分析を分けやすくなる。
最後に、店で確かめたことを書く
店のスタッフが確かめた口当たりや香りも、商品を説明する材料になる。ただし、それはIWCの評価ではない。確認した人や温度などの条件が、IWCの審査とは異なるからである。
例えば、店で「口当たりはやわらかく、香りの後に酸味が続く」と確認したとする。資料には、その内容とともに、確認した日、担当者、確認時の温度、開栓してからの時間を残す。そして「店の確認記録」とはっきり書く。
店で資料を作るなら、欄を三つに分けると分かりやすい。「大会で決まったこと」「主催者が大会全体を見て分析したこと」「店で確かめたこと」の三つである。
英語やタイ語に翻訳するときも、この三つの見出しと順番を変えない。文章だけでなく、誰が確かめた情報なのかも一緒に伝える。
説明するときも、同じ順番にする
実際の説明も、資料と同じ順番にすると分かりやすい。
最初は大会の事実である。
「大会資料で確認できるのは、この銘柄がIWC 2026の純米吟醸部門で金賞を受賞したことです」
次は主催者の分析である。
「IWCは2026年の大会全体に見られた特徴として、味のまとまり、口当たり、その土地らしさを挙げています。ただし、これはこの銘柄だけの受賞理由ではありません」
最後は店の記録である。
「ここからは当店で確かめた内容です。当店では、口当たりはやわらかく、香りの後に酸味が続くと記録しました」
メダルは大会の結果である。結果を振り返る記事は、主催者が全体の傾向をまとめたものである。店の記録は、店が自分で確かめた内容である。
三つを分ければ、担当者が代わっても、説明のもとになった情報をたどりやすい。分からない部分を想像で足さず、分かっていることを正確に伝えるための方法である。
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