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麹を、取り返す

「逆輸入」が問いかける、発酵文化のこれから

海外の料理人の発言や、関連する記事には、「nomaや英語圏で出版された発酵関連書を通じて麹を学んだ」という語りが見られる。日本の麹を、西洋の文献で学ぶ。この事実が示す逆説を、しばらく考えていた。

麹菌は日本が千年以上育ててきた菌である。味噌、醤油、日本酒、焼酎など、日本の発酵食品の多くに麹は関与している。麹菌は国菌とも呼ばれ、日本の食文化の根幹を成す存在である。

それでも今、日本の若い料理人の一部が麹の応用を西洋の文献から学ぶ状況が生まれている。麹は日本から世界へ静かに出ていき、西洋を経由して日本へ還ってきた。「逆輸入の麹」という、誰も予期しなかった旅が始まっている。

火をつけたのは、コペンハーゲンだった

きっかけはコペンハーゲンのnomaだった。同レストランの発酵ラボは、日本の麹菌を用いた発酵技術を、地元の穀物などの食材に応用し、「北欧版の味噌」「地産のガルム(魚醤)」を生み出した。日本の伝統技術を、まったく別の文化的文脈に置き換えるこの試みは、世界中のシェフのあいだに波及した。

2020年には米国のシェフ、ジェレミー・ウマンスキーらが『Koji Alchemy』を刊行した。麹の科学的原理から応用レシピまでを体系的に整理した一冊は、英語圏の料理人にとって麹の入門書となり、世界各地の厨房で麹が使われるようになる火付け役の一つになったとされる。

ここで奇妙なことが起きた。麹の本場である日本発の文献ではなく、英語で書かれたこの本が、英語圏で広く参照される麹テキストとして流通したのである。

日本が手放したもの

なぜこの逆転が起きたのか。

日本では、麹は「当たり前のもの」だった。蔵人は麹のことを外に向けて語る必要が少なかった。使うのが日常であれば、言語化する動機は生まれにくい。日本の担い手たちは、千年の経験を持ちながら、その経験を外向きに語る言葉を整えることを後回しにしてきた。

一方、日本の外から麹に出会った料理人たちは、驚きとともに語った。「これは何だ」「なぜこんな旨味が出るのか」「どこまで応用できるのか」。驚きのある場所にこそ、言語が生まれる。国際的に流通しやすい英語で発信されたその言葉は、瞬く間に広がった。

技術はずっと日本にあった。しかし、その技術を外向きに語る言葉の一部は、日本の外で育った。これが「日本が手放したもの」の実体ではないか。

逆輸入が持ち込んだもの

しかし、この逆説には、失うだけではない側面もある。

西洋を経由した、麹を語る言葉は、新しい問いを日本へ持ち帰った。日本酒に使う麹、発酵調味料に使う麹、肉の熟成に使う麹は、同じ麹菌でありながらどれほど異なる顔を持てるのか。そうした問いである。nomaが示した「テロワール発酵」、すなわち土地の食材に土地の微生物を合わせるという発想は、日本古来の蔵文化が実践してきたことでもある。ただし日本では、それが「テロワール発酵」という言葉で語られることはなかった。

逆輸入は、日本の作り手にとって、自分たちの文化を「外からの目」で再発見する機会になっている。

バンコクという、第三の地点

このとき、バンコクはどこに立っているのか。

逆輸入ルートの末端にいるのか。それとも、日本の麹文化と西洋の麹言語を橋渡しする第三の地点になれるのか。

麹とは何かを語る言葉は、いまや一つではない。日本の蔵人の言葉と、英語圏の発酵研究者の言葉と、東南アジアの食文化から麹を見た言葉。それらの言葉が同じ一点で交差する可能性がある。その場所が、バンコクかもしれない。麹を「取り返す」とは、奪い返すことではなく、新しい文脈で語り直すことだと考える。その語り直し、あるいは翻訳の仕事は、まだ始まったばかりである。


This article is intended solely to explore the cultural and historical context of koji fermentation and its global evolution, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับบริบททางวัฒนธรรมและประวัติศาสตร์ของการหมักโคจิและวิวัฒนาการระดับโลกเท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ

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