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一本のウイスキーがバンコクに届くまで

時間と、税と、透明性という三つの関門

バンコクのバーで、あるジャパニーズウイスキーの銘柄がメニューに載っている。その当たり前に見える一本の背後に、近年、いくつもの関門が立ちはだかるようになった。

「メニューに残したいが、コストが合わなくなってきた」。そんな声を、この街のバーオーナーやF&Bマネージャーから聞く機会が増えている。だがこれは、値段が上がったという表面的な話ではない。一本のウイスキーがこの街に届くまでの構造そのものが、軋み始めているのだ。その構造を、三つの関門に分けて見ていきたい。

第一の関門:時間

ウイスキーの値動きを理解するには、まず「時間」を見なければならない。ウイスキーは樽の中で何年も熟成されて、初めて製品になる。需要が急に増えても、翌月に供給量を増やすことはできない。いま市場に並ぶ多くのボトルは、過去に仕込まれた原酒に支えられているからだ。

2000年代後半から、国際的な品評会で日本のウイスキーが相次いで高く評価され、欧米で需要が一気に広がった。だが供給は、十年前の判断に縛られている。この時間差こそが、価格を構造的に押し上げる根本的な要因である。主要な蒸留所は2010年代に仕込みを大きく増やしたが、その成果が市場に厚みを持って反映されるには、なお時間がかかる。需給のずれは、短期間では埋まらない。だからこそ一部の銘柄では、価格が十年余りで十数倍という水準まで動いた。これは一時的な高騰ではなく、時間が生んだ構造なのである。

第二の関門:税

次の関門は、タイ市場に固有の「税」だ。

輸入される酒類には、関税と各種税が段階的に積み上がっていく。日本や欧米の消費者が目にする価格に、その分が上乗せされる仕組みである。つまり、もとの仕入れ価格が動けば、バンコクの店頭ではその変動が増幅されて表れる。さらに、大手メーカーの価格改定も効いてくる。ある大手は2022年に主要銘柄の価格を最大で約3割引き上げ、2026年にも複数の銘柄の価格を改定した。こうした改定は流通全体の「参照価格」を押し上げ、輸入・卸・小売の各段階で値付けの見直しが連鎖する。バンコクの一本には、海の向こうの改定が、税という増幅器を通して届くのだ。

第三の関門:透明性

そして、見落とされがちな第三の関門が「透明性」である。

需給が逼迫すると、正規の流通とは別に、並行輸入や転売を経た製品が市場の一部に混じるようになる。相場よりも大幅に安い一本が出回ったとき、それがどの経路を通ってきたのかは、必ずしも自明ではない。問題は値段だけではない。ウイスキーは、保管温度や保管履歴が中身の状態を左右する。どこをどう通ってきたか分からない一本は、たとえ安くても、提供される時点での状態が保証されない。仕入れルートの透明性と品質の一貫性は、切り離せないのである。

なぜ、いまバンコクで選択が問われるのか

時間、税、透明性。この三つの関門は、どれも一つの店の努力だけでは越えにくい。だからこそ、一歩引いてみる必要がある。

ジャパニーズウイスキーという有名な名前にこだわるのか。それとも、日本の蒸留文化という、より広い裾野で語るのか。日本にはいま、ウイスキー以外にも、ジンや焼酎、泡盛といった蒸留酒が、それぞれ固有の発酵と蒸留の物語を持って育っている。価格上昇の影響の出方も、銘柄やカテゴリーごとに違う。一つの名前に頼り切るのではなく、複数の日本産蒸留酒で「日本の物語」を組み立てる。それは、コストの壁を、選択肢の広さへと読み替える発想でもある。

バンコクのバーに突きつけられているのは、仕入れの問題であると同時に、「自分たちは何を語りたいのか」という問いでもある。一本のウイスキーが届くまでの三つの関門は、その問いを、静かに照らし出している。


This article is intended solely to explore the structural and procurement dynamics of the Japanese whisky market and the broader landscape of Japanese distilled spirits, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับโครงสร้างตลาดและการจัดหาวิสกี้ญี่ปุ่น รวมถึงภาพรวมของสุรากลั่นญี่ปุ่นเท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ


“27から140超へ──ジャパニーズウイスキーの「第二世代」が、日本各地で静かに樽を満たし始めている” / “「ウイスキーの次」を探しているバンコクのバーへ──ジャパニーズクラフトジンという選択肢の実務ガイド” / “カテゴリーの境界が溶けはじめたバックバー──2026年のバンコクで、日本酒、焼酎、泡盛、ワイン、ジン、リキュールが同じテーブルで出会う夜” / “料理は進化した。では、飲みものは”

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