Bacchus
LINE

Blog

見直されるのは、酒を造る側の条件である—タイで2025年5月に原則承認された改正案

2025年5月13日、タイでは、酒の製造に関する条件を見直す改正案が、閣議で原則承認された。

案を出したのは物品税局である。物品税局はタイ財務省の機関で、酒やたばこなどにかかる物品税を扱っている。見直しの対象になったのは、酒の製造に関する条件を定めた省令だった。省令とは、法律にもとづいて、担当する大臣が具体的な決まりを定めるものである。今回のものは、仏暦2565年、西暦でいう2022年に制定された。

この改正案は、日本から酒を輸入する条件を直接見直すものではない。ただし、バンコクの飲食店の棚がこれからどう変わるかを考えるとき、中身を正確に知っておく意味はある。

先に、三つの言葉を分けておきたい

この話には、似ているが別のことを指す言葉が三つ出てくる。先に整理しておく。

原則承認とは、改正の基本的な方向を認めることである。公布とは、できあがった法令を官報で正式に公表することをいう。官報は、国が法令などを公表する刊行物である。そして施行とは、その法令の適用が実際に始まることをいう。

2025年5月に行われたのは、このうち最初の原則承認である。

今回の改正案は、タイ国内の製造者に関する条件を見直すものである

タイで酒に関わる場合でも、製造するとき、輸入するとき、店で売るときでは、確認すべき規定が異なる。

2026年に入ってから、タイでは決まりが二つ変わった。一つは、ぶどうのワインとスパークリングワインを輸入するときの条件である。以前は、タイでそのブランドを独占的に輸入する代理店であることを示す書類が必要だったが、その要件が撤廃された。もう一つは、午後2時から5時まで酒を売ってはいけないという決まりで、こちらも撤廃された。前者は財務省、後者は公衆衛生省が、それぞれ別の法律にもとづいて進めたものである。

2025年5月に原則承認された改正案は、この二つとは別に、タイ国内で酒を造る事業者の条件を見直すものである。

改正案で示された主な変更

一つ目は、ケグによる全国への出荷である。ケグとは、ビールなどを詰めて運び、注ぎ出すための樽型の容器をいう。報道によれば、対象となる醸造所やブルーパブ(店内の設備でビールを造り、その店で提供する飲食店)には、販売先を製造場所内やその県内に限る制約があった。改正案では、物品税局が認めたケグを使えば、県をまたいで出荷できるとしている。

二つ目は、最低投資額の要件である。2025年6月付けの法律事務所による解説では、1,000万バーツの最低投資額の要件について、金額を下げるのではなく、要件そのものを撤廃する内容だと記されている。

三つ目は、造る場所の条件である。これまでは、公共の水源から100メートル以上離れた場所に製造施設を設けることが求められていた。改正案では、この距離の条件を撤廃するとしている。ただし無条件ではなく、環境汚染を防ぐための排水処理の仕組みを備えることが条件になる。

四つ目は、規模を大きくするときの順番である。これまでは、中規模の製造免許を取るために、まず小規模の製造者として1年間操業した実績が必要だった。改正案では、この実績がなくても中規模の免許を申請できるようにするとしている。ほかの免許の条件まで外れるわけではない。

2025年6月付けの法律事務所による解説では、このほかに「フレッシュビール醸造所」という区分が新しく設けられること、中規模の造り手に対する免許手続きが簡単になることにも触れられている。

方向が決まったことと、適用が始まることは、別である

ここで、先に整理した三つの言葉が効いてくる。

2025年5月に閣議が行ったのは、原則承認である。報道でも、原則承認の段階であることが伝えられている。この後、条文の最終的な作成と必要な承認を経て、官報で公布される。そして、実際にいつから適用されるかは、公布された省令に書かれた施行日で決まる。

つまり、方向は定まった。ただし、誰が、どの条件で、いつから何をできるようになるかは、その先で確定する。これから醸造所を始めようとする人にとっても、その酒を仕入れようとする飲食店にとっても、確かめたいのは三つである。対象となる製造者は誰か、必要な条件は何か、施行日はいつか。

造り手が増えるとき、選ぶ側の仕事は変わる

醸造を始めるときの条件が緩めば、小さな造り手が増える余地は生まれる。

そうなったとき、飲食店で仕入れを担当する人の仕事は、少し変わる。扱える銘柄が増えるほど、どれを置くかを選ぶだけでなく、なぜその銘柄を置くのかを説明できるかどうかも問われるようになる。誰が、どこで、どのように造ったのかといった情報も、仕入れを判断する材料になると考えられる。

日本酒や焼酎を扱う私たちにとっても、タイ国内の造り手が増えた場合、仕入れ先の選び方にどのような影響が出るかは、見ておきたい点である。産地や造り手、製法への関心が広がるのであれば、日本の蔵についても、産地や造り手、製法を説明する意義は、それだけ増していく。

2025年5月の時点で確かなのは、酒を造る側の条件を見直す案が、原則として承認されたということである。実際に何がどう変わるかを知るには、その後に公布された省令で、対象となる製造者、必要な条件、施行日を確かめる必要がある。


This article is intended solely to explore regulatory developments concerning alcohol production in Thailand and their context for the food and beverage industry, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับความเปลี่ยนแปลงของกฎระเบียบด้านการผลิตสุราในประเทศไทยและบริบทของอุตสาหกรรมอาหารและเครื่องดื่มเท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ


“規制がゆるんだ。だが二つの変更は、別々の役所が進めた――2026年のタイ酒類制度” / “タイの外食市場は、どんな店が伸びているのか” / “醸造所をどこまで見せるか――日本のクラフトビール醸造所が決める「公開の範囲」” / “「良い酒」は誰が決めるのか——バンコクの食卓と、あるワインライターの二択” / “米から麦芽へ – 同じ水がつなぐ日本酒とビール、HEIWA CRAFT Pale Ale”

Discover the culture behind every bottle

We share brewery stories, tasting notes and the craft of koji & fermentation — for educational and cultural purposes only.

เราถ่ายทอดเรื่องราวจากผู้ผลิต บันทึกรสชาติ และศาสตร์แห่งโคจิและการหมัก — เพื่อการศึกษาและวัฒนธรรมเท่านั้น

Follow on Instagram
Facebook

Age Verification

This website contains information about alcoholic beverages and is intended for audiences aged 20 and above. Please confirm your age to continue.