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消えた酒米の「親」を復活させた蔵――楯の川酒造と惣兵衛早生の物語

消えた酒米の「親」を復活させた蔵――楯の川酒造と惣兵衛早生の物語

「亀の尾」のさらに前にあった米

日本酒好きなら「亀の尾」という名前を聞いたことがあるかもしれない。明治26年に山形県庄内地方で生まれ、一度は姿を消しながらも復活を遂げた伝説的な酒米である。

では、その亀の尾の「親」にあたる品種が存在したことは、どれほど知られているだろうか。

その名は、惣兵衛早生(そうべえわせ)という。

農薬の時代に、取り残された米

惣兵衛早生は、亀の尾が生まれる以前から庄内平野で栽培されていた在来品種である。ただ、この米には致命的な弱点があった。病害虫への耐性が低く、近代農業で用いられる化学肥料や農薬にも適応しにくい。収量は現代品種と比べものにならないほど少なかった。

効率を求める時代のなかで、惣兵衛早生を育てる農家は一軒、また一軒と姿を消していった。やがてこの米は、品種として事実上の絶滅を迎えた。子である亀の尾が復活を果たしたあとも、親の存在は忘れられたままだった。

試験場に眠っていた種籾

転機は2017年に訪れた。山形県酒田市の酒蔵、楯の川酒造が、山形県の農業試験場に惣兵衛早生の種籾が保存されていることを知ったのである。

楯の川酒造は、全量を純米大吟醸で仕込むという珍しい方針を貫く蔵である。造る酒のすべてが純米大吟醸。米の個性をそのまま酒に映し出すという哲学で知られている。消えた米の復活に挑むことも、この哲学の延長線上にあった。

種籾を受け取った後、契約農家とともに3年以上の歳月をかけて栽培技術を確立した。倒れやすく、病気に弱い。現代の効率的な農法が通用しない米を、庄内平野の気候と向き合いながら育て直す作業は、忍耐の連続だったはずである。

唯一の蔵が醸す、唯一の米

2021年10月、楯の川酒造は「Shield 惣兵衛早生」を純米大吟醸として世に送り出した。現在、全国でこの米を使って醸造している蔵は、楯の川酒造ただ一蔵である。

庄内平野の風土で育ち、庄内の水で仕込まれる。米も、水も、造り手も、すべてがこの土地に根ざしている。日本酒の世界でテロワールという言葉が使われる機会はまだ多くないが、惣兵衛早生で醸された酒は、その可能性に対する一つの回答といえる。

ラベルの向こうにある風景

ワインの世界では、ブドウの品種名がテロワールを知る入り口になる。日本酒でも、同じことができるのではないか。

ラベルに書かれた米の名前を手がかりに、その土地の風景を想像してみる。惣兵衛早生という少し古風な響きの向こうには、庄内平野の風と、絶滅から戻ってきた米の物語がある。


This article is intended solely to explore the brewing philosophy and cultural heritage of Japanese sake rice terroir, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับปรัชญาการผลิตและมรดกทางวัฒนธรรมของข้าวสาเกญี่ปุ่น เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ

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