Perspectives
オレンジワインは「色」だけでなく「製法」で読む——バンコクで見え始めたスキンコンタクト白

バンコクのワインバーで、琥珀色の白ワインを見かける機会が増えている。「オレンジワイン」「アンバーワイン」「醸し白」「スキンコンタクト白」。呼び名は複数あるが、オレンジの果実を使った酒ではない。理解するうえでは、色だけでなく、白ブドウの果汁を果皮などと接触させて発酵させる製法にも目を向ける必要がある。
2024年には、複数の輸入事業者が参加する「Call It Amber」ウィークがバンコクで開かれた。2026年6月には、Koktail Magazineがナチュラルワインを扱う7軒を特集し、オレンジワインもその流れの一部として紹介した。一般的な白ワインほど広く浸透しているわけではない。ただ、少なくとも一部の専門店や業界企画では、珍しい一本として置く段階を越え、製法を理解して選ぶカテゴリーとして扱う動きが見える。
色の正体は、果皮と過ごした時間にある
一般的な白ワインでは、ブドウを搾った後、果皮や種を早い段階で果汁から分ける。スキンコンタクト白では、それらを果汁に残し、一定期間接触させながら発酵させる。この間に、果皮などに含まれるタンニン、色素、香りに関わる成分が果汁へ移る。色は黄金色から深い琥珀色まで幅があり、渋みや質感も生まれる。
国際ブドウ・ワイン機構(OIV)は、この製法を「白ブドウの果汁を、果皮・果肉・種子・場合によっては梗を含む固形部分と長く接触させてアルコール発酵させた白ワイン」と定義している。つまり、オレンジ色かどうかだけで線を引くより、「果汁を何と、どのくらいの期間接触させたか」を確認するほうが正確である。
古い技法が、現代の分類を揺らした
この方法は新しい流行から生まれたものではない。ジョージアでは、卵形の素焼き容器「クヴェヴリ」に果汁、果皮、種などを入れて発酵・熟成させる技法が受け継がれてきた。ユネスコは2013年、この伝統を無形文化遺産に登録している。
一方、ワイン専門誌Decanterの歴史解説によれば、イタリア北東部のフリウリと隣接するスロベニアでは、1990年代以降、長い果皮接触を用いる白ワインが国際市場で再び注目されるようになった。古い造り方が現代のワインリストへ戻った結果、白か赤かという色の分類だけでは説明しにくい領域が見えるようになったのである。
「ナチュラル」と同じ意味ではない
ここで混同しやすいのが、ナチュラルワインとの関係である。本記事でいうスキンコンタクト白は、白ブドウの果汁を果皮などと一定期間接触させる醸造方法を軸にしたカテゴリーである。一方、ナチュラルワインは、畑での栽培や酵母の選択、添加物、濾過など、生産全体の考え方に関わる言葉であり、ワイン教育機関WSETの解説でも単一の公式定義はないとされている。
したがって、ナチュラルワインがすべてオレンジワイン(スキンコンタクト白)というわけではなく、スキンコンタクト白がすべてナチュラルワインというわけでもない。この二つを同義のように扱うと、製法の違いが見えにくくなる。
バンコクの現場で確認したいこと
実務で役立つのは、「オレンジワインか」という一問だけで判断せず、情報を分けて確認することである。確認したいのは、果汁と果皮の接触期間、発酵・熟成に使った容器、濾過の有無、酸化などを抑えるための亜硫酸の扱い、そして生産者が示す保管条件である。これらは、色だけに頼らず、ワインの構造と管理上の注意点を読み解く手掛かりになる。
高温の時期が長いバンコクでは、製法の説明と、輸送後の温度管理や開栓後の状態確認を切り離して考えることはできない。複雑な製法を説明できても、保管条件が曖昧なら、実務的なカテゴリーにはならないからである。
バンコクの一部で見え始めた変化は、琥珀色の選択肢が増えたことだけではない。白ワインを色や品種だけでなく、果皮と過ごした時間から読む視点が加わったことにある。「オレンジワイン」という名前を入口にしながら、最後は製法の言葉で説明する。そうした説明ができるようになったとき、このカテゴリーは流行として眺める対象ではなく、根拠をもって扱える実務上の選択肢になる。
This article is intended solely to explore the winemaking methods, historical background, and service-related context of skin-contact white wine. It does not aim to promote or encourage the purchase or consumption of alcohol. It is intended for readers aged 20 and over.
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