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「ネグローニ伯爵」は実在したのか——世界的に知られるカクテル、その裏づけられていない起源

「ネグローニ伯爵」は実在したのか——世界的に知られるカクテル、その裏づけられていない起源

カクテル史の標準的な参照文献である『The Oxford Companion to Spirits and Cocktails』(以下、『Oxford Companion』)は、ネグローニがいつ生まれたかを断定していない。「第一次世界大戦の終結から1920年10月まで」と、一年以上の幅を持たせている。 同書の編者であるカクテル史研究者デイヴィッド・ウォンドリッチは、このカクテルの歴史には「厄介な空白」があると記した。 世界的に広く知られているカクテルでありながら、その起源を裏づける同時代の資料は、現時点で確認されていない。
広く語られてきた物語
語り継がれている筋書きはこうだ。第一次大戦の直後、イタリア・フィレンツェのカフェ・カゾーニで、常連客のカミッロ・ネグローニがバーテンダーのフォスコ・スカルセッリに、いつも注文していたアメリカーノの構成を変えてほしいと頼んだ。こうしてこの客の名を冠するカクテルが生まれたと語られている。 物語としては過不足がない。舞台があり、人物名があり、動機がある。カミッロ・ネグローニが1868年に生まれ、1933年に没した実在の人物であることも、前掲の『Oxford Companion』に記されている。 問題は、この筋書きを支える当時の資料が確認されていないことにある。
不確かな三つの点
一つ目。年が確定していない。「1919年」という年号がしばしば挙げられるが、これを裏づける同時代の資料は確認されていない。もっとも広く流通しているこの数字自体が、後から補われたものである可能性がある。二つ目。「伯爵」だったかどうかが確認できない。多くの場合「ネグローニ伯爵」と紹介されるが、ウォンドリッチの調査によれば、伯爵の称号を持っていたのは祖父ルイジであり、カミッロ本人が伯爵位を有していたかは確認できないとされている。三つ目。最古の言及が、あまりに遅い。この逸話を活字化した最初期の例として知られるのは、1962年のイタリアの新聞記事である。カミッロの没年から約30年、逸話が起きたとされる時期からは40年以上が経っている。
さらに、子孫の一部が否定している
物語をいっそう複雑にする事実がある。ネグローニ家の子孫の一部は、「カミッロ・ネグローニという伯爵は、自分たちの家系図には見当たらない」と明確に否定している。彼らが真の考案者だと主張するのは、フランス軍の騎兵将校パスカル・オリヴィエ・ド・ネグローニという別の人物である。 ただしこのフランス起源説には年代の矛盾がある。子孫の主張では1857年にセネガルで考案されたとされるが、カンパリが誕生したのは1860年である。材料が存在しない時点で、その配合は成立しない。別系統で語られる、1914年頃に考案されたという説も、この人物が1913年に没しているため成り立たない。 少なくとも、提示されている年代関係に照らすかぎり、フランス説は成立しない。
名前より先に、配合が記録されていた
もうひとつ興味深い事実がある。「ネグローニ」という名称が印刷物に現れた最初期の例は、1947年に刊行されたイタリアの書籍とされる。 ところが、それより早い1929年にフランスで出版された一冊の書籍には、今日のネグローニと同じ配合が、まったく別の名で掲載されていた。 このことは、両者に系譜的なつながりがあることを証明するものではない。ただ、同じ配合は「ネグローニ」という名称より先に印刷物へ現れていた、という事実である。
我々が知る起源譚は、1962年以降の記録に依拠している
ここから引き出せる示唆は、ネグローニに限られない。 語り継がれてきた逸話は、ときに出来事そのものではなく、その出来事についての後年の再話である。ネグローニの場合、我々が共有している筋書きはカミッロの死から約30年後に活字となり、その後60年以上にわたり、世界中で繰り返し語られてきた。反復は権威を生むが、証拠を生みはしない。 このことは、古典を軽んじる理由にはならない。むしろ、古典をより慎重に検証すべき理由になる。物語は、変化しながら継承されてきた。この点は、古典がどのように受け継がれてきたかを考える手掛かりになる。 岩手県金ケ崎町の金ケ崎薬草酒造がつくるAKA-ONI ROSSOは、ワインではなく味醂を土台に据えたスイート・ベルモットである。ネグローニという古典の構造を各要素の役割から捉え直す試みについては、『クラシックカクテル12選 第1弾:ネグローニ』で扱っている。 古典を記録と後世の再話の両面から捉えることは、その歴史をより慎重に扱うことにつながるはずだ。
This article is intended solely to explore the blending craftsmanship and cultural heritage of Kanegasaki Botanical Distillery and the AKA-ONI ROSSO brand, and does not aim to promote or encourage the consumption of alcohol. / บทความนี้จัดทำขึ้นเพื่อนำเสนอข้อมูลเกี่ยวกับศิลปะการผสมผสานและมรดกทางวัฒนธรรมของ Kanegasaki Botanical Distillery และแบรนด์ AKA-ONI ROSSO เท่านั้น มิได้มีเจตนาเพื่อส่งเสริมหรือโฆษณาเครื่องดื่มแอลกอฮอล์ สำหรับผู้มีอายุ 20 ปีขึ้นไป โปรดดื่มอย่างรับผิดชอบ
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