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720mlは四合を表している—日本酒の瓶に残る江戸時代の単位

バンコクの店の棚では、日本酒とワインの瓶が隣り合って並ぶことがある。ワインには750mlの瓶、日本酒には720mlや1.8Lの瓶がよく見られる。750mlと720mlの差はわずか30mlだが、720という数字は、リットルを基準にすると半端に見える。

日本の酒類情報サイトが2026年9月に更新した単位の解説によれば、日本酒の量を表す「一合(いちごう)」は約180mlである。720mlはその4倍、1.8Lは10倍にあたる。そのため、720mlの瓶は「四合瓶(よんごうびん)」、1.8Lの瓶は「一升瓶(いっしょうびん)」と呼ばれている。瓶の呼び名に「合」という日本の古い単位が残っている。

「合」と「升」は、日本の古い単位

「合」は、日本で古くから使われてきた「尺貫法(しゃっかんほう)」という単位体系において、容積を表す単位である。尺貫法では、長さには「尺」、重さには「貫」を用いた。容積の単位は10倍ずつ大きくなり、1合の10倍が1升(約1.8L)、1升の10倍が1斗(いっと、約18L)、1斗の10倍が1石(いっこく、約180L)となる。

日本では1959年にメートル法が実施され、商取引や計量結果の証明に尺貫法の単位を使うことが、原則として禁じられた。それでも、瓶の呼び名には四合と一升が残り、ラベルにはメートル法による「720ml」「1.8L」という容量が表示されている。

今の一升の容量は、1669年に全国の基準になった

では、今の一升の容量は、いつ全国の基準になったのか。米や酒を量る道具は「枡(ます)」と呼ばれ、多くは四角い木の箱である。14〜16世紀ごろの日本では、枡の容量が地域ごとにまちまちで、2合しか入らないものから14合入るものまであったとされる。16世紀には、10合を1升とする枡に統一されはじめ、京都で使われた「京枡(きょうます)」が周辺の地域に広まった。日本の統一を進めた武将の織田信長は、この京枡を自分の領地で使う枡に定めた。豊臣秀吉もこの京枡を、田畑の調査や米で納める税(年貢)の取り立てに使った。枡の容量が違えば、同じ一升でも実際の米の量が変わる。

1620年代ごろには、口がやや狭く、深さのある新しい型の京枡が現れた。内側の寸法は、縦・横ともに約14.8cm、深さは約8.2cmである。江戸時代(17世紀初めから19世紀後半)の学者の中村惕斎(なかむら・てきさい)は著書で、口を狭くしたのは、枡に盛った米を棒でならして平らにする(すり切る)ときの不正を防ぐためだったと説明している。

一方、江戸(現在の東京)では古い型の枡が使われ続け、江戸と京都で一升の容量が違っていた。当時日本を治めていた武家政権の江戸幕府は、1669年2月に枡を統一する命令を出し、新しい京枡を全国共通の枡とした。1891年に制定された度量衡法(長さ・容積・重さの単位を決めた法律)も、一升をこの枡の容量と定めた。これをメートル法に直すと約1.8039Lになり、現在の一升瓶の表示である1.8Lとほぼ一致する。4合は計算上約721.6mlとなるのに対し、四合瓶には720mlと表示されている。

「石」は、酒蔵の生産規模を表す

尺貫法の単位は、瓶のほかにも日本酒の世界に残っている。1升の100倍にあたる「石」は、酒蔵の生産規模を表すときに使われる。冒頭で紹介した酒類情報サイトの解説によれば、年間100石を造る酒蔵は、1年に一升瓶1万本分の日本酒を造っていることになる。酒蔵の資料に年間の生産量が「〇〇石」と示されていれば、この換算で生産規模の見当がつく。

石は、米にも酒にも使われてきた容積の単位である。江戸時代には、各地を治めた大名の領地の規模や経済力も、そこで収穫できると見込まれた米の量を基準に、「石」で表された。これを石高(こくだか)という。「加賀百万石」という言葉は、現在の石川県と富山県にまたがる、前田家が治めた領地の石高が百万石規模だったことを示している。

バンコクの棚では、720mlの日本酒の瓶が、750mlのワインの隣に並んでいる。その四合瓶の容量の基準をたどると、1669年に江戸幕府が全国共通の枡と定めた口の狭い京枡に行き着く。


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“日本語が読めなくても分かる、日本の酒ラベルの見方” / “角打ちという知恵——「買う場所」と「飲む場所」の境界に生まれた文化”

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